|
|
三重県鈴鹿市にある、市野建具店の市野政光社長は、注文を受けている、別注の木製扉の製作を始めました。
今回の別注扉の特徴は、扉の表面の木の間隔がランダムになるという、少し変わった注文です。
まず、扉の骨格を形成する材料を集めるために、夫々のパーツの製作を始めました。
市野社長は、モルダーで木の加工を始めました。モルダーは、材料の4面削りが、一挙にできる優れものです。 |
|
|
市野社長は、モルダーを操作していきますが、コンピューターが内臓されています。
市野社長は、CADを使いこなして組子や建具の図面を仕上げているので、モルダーの操作などは、簡単なようです。
モルダーの持つ特徴を最大限に生かすために、これまで随分と苦労されたと思われます。 |
|
|
市野社長は、次に工場内のケイシャ盤の機械の所に行って、パーツの木を削っていきます。
工場内の機械設備は、その効用を良く理解しておかないと、無駄な動きをしがちですし、効果を半減させてしまいます。
そのあたりの動きは、慣れたもので、長年の経験から、素早く対応してやっていきます。 |
|
|
次に、市野社長は、材料の木を持って、角ノミ穴堀り機の所へ行って、角穴を開けていきました。
角穴は、「枘(ほぞ)」を作る際に、不可欠な機械です。
市野社長は、角穴を開けるのに。レバーを引いて、上手く手加減をして穴を開けていきました。 |
|
|
市野建具店の工場内の中央に作業台が置いてあります。
市野社長が一番、目の届く場所に作業台を配置したと思われます。
その作業台に、別注木製扉の枠の材料を持って来て、その先端部分を、カンナで削っていきます。
注意深く、でもしっかりと、カンナをかけていきました。 |
|
|
その作業台の大きい溝の部分に、驚くべき収納場所が確保されていました。
一本の太めの長い木に、色々な大きさの溝が彫られており、その溝に色々な大きさのノミが収納されておりました。
色々な業種の職人さんは、自分達の用具などを、独特な方法で収納していたり、活用しています。
そのちょっとした工夫に、私は、大変驚かされたり、感嘆されたりします。
特に建具関係の職人さんには、工夫されたり、器用な方が多いように思います。 |
|
|
市野社長は、その作業台の上に、斜めに大きな木を渡して、その上に、今回の別注木製扉の色々なパーツの木々を置いて、私に作業手順などを、教えてくれました。
今回の別注木製扉の特徴は、扉の表板に、幅がランダムな木々を使用するのです。
以前にもどこかの建具職人さんで、そのような扉の注文を受けたと言っていた事を思い出しました。
熱く語る市野社長の情熱は、大変なもので、大いに感嘆させられました。 |
|
|
市野社長は、別注木製扉の色々なパーツの木々を持って、各パーツの役目などを、詳しく教えていただきました。
図面はCADで打ち出しており、その図面に基づいて、各パーツを製作し、組み合わせて、完成させていくのですが、その工程で、色々な工場内の設備機械を臨機応変に使用していきます。 |
|
|
市野社長は、次に超仕上げ盤の機械の所に行って、別注木製扉のパーツの木を超仕上げ盤に入れて削っていきます。
超仕上げ盤と言う機械は、大きなカンナと考えてもらって結構だと思います。
市野社長は、超仕上げ盤に、どれくらいの厚みをカットすれば良いかを、設定して、パーツの木を入れていきました。 |
|
|
入れたパーツの木から機械の中で削られて、外に薄い木片として出てきました。
その薄さといったら大変なもので、手に取ってみて、向うがはっきり見える状態の薄さに削られていました。
また、削られた木の表面をしっかりチェックしていきます。市野社長のチェックする目つきは、真剣そのものです。 |
|
|
市野社長は、超仕上げ盤に入れて出てきた木を持って、斜め上の方向へ、上げて、下からじっくりチェックしていきます。
建具屋さんが、このようなポーズを取られる職人さんは、初めてだったので、大変興味がわきました。
市野社長に尋ねると、市野建具店にパーツとして納入された時点で、その木が切断された跡が必ず付いているので、その跡を出来るだけ無くすために、0、1ミリ程度の薄さで、何回もこの機械に通すとの事でした。
0、1ミリと言えば、1ミリの十分の一であり、大変薄いことが、判っていただけると思います。
出てきた木板を触らせていただきましたが、木の表面は、ツルツルで、大変感激いたしました。
|
|
|
市野社長は、別のパーツの木を持って、プレーナー小の機械の所に行って、パーツの木を機械に入れていきました。
プレーナー小に入れた木は、回転式のローラーに押し出されて、同時に表面を削っていきます。
その表面も大変綺麗に削られて出てきました。 |
|
|
市野建具店の市野社長は、三重県鈴鹿市加佐登3丁目に工場を構えています。自宅もすぐ傍にあります。
市野社長は、ラジアルソーと言う機械の場所に行って、パーツの木を加工していきます。
CADで建具のデザインを作製し、図面を作り上げます。市野社長が一人でその作業をする事に驚いたり、工場内の設備機械の優秀さにも、感嘆の声を上げたりしました。
これまで色々な建具展示会で表彰状を獲得しており、同業の建具屋さんからの信頼も厚く、同時に複雑な組子を入れた建具を市野建具さんに注文されています。
忙しいから同業者さんに製作を依頼する事は、よく聞きますが、難しい、複雑な依頼で注文を受けて、それを市野建具店に依頼したり、注文する事は、いかに市野建具店さんが、技術のレベルが高いという事です。
これから工場内の優秀な設備機械の色々をご紹介したいと思います。 |
|