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屋根・板金屋  松田勝資の施工例

施工例写真1
京都市右京区にあります平岡八幡宮は
『 リルーフまつだ 』 屋根・板金職人 松田さんの地元のお寺です。

そのご縁もあって
今回、台風による被害によって破損した
棟瓦の葺き替え工事をご依頼されました。

国道162号線沿いにあります平岡八幡宮は
静かでとても落ち着いた雰囲気の佇まいです。
施工例写真2
平岡八幡宮に行かれた方はよくご存じかと思いますが
表門から参道をしばらく歩いた一番奥に位置します
お参りをするこちらが今回の現場になります。

真夏の暑さが多少緩んで来たとはいえ
昼間はまだまだ暑い感じです。

平岡八幡宮の本殿は1826年に建てられた
山城国最古の八幡宮として
2000年には京都市の有形文化財に指定されるなど
伝統と歴史のある神社です。
施工例写真3
こちらは剥がす前の棟瓦の状態を撮った写真を
見せていただきました。

社寺仏閣の瓦の葺き替えは一般住宅とは
同じ瓦でも施工方法が全然違うそうで
瓦自体は半世紀単位でもちますが

今回の様に台風が続くと瓦が剥がれたり破損したりして
そうなると雨漏りするため当然メンテナンスが必要になってきます。
施工例写真4
かなり傾斜のある屋根で
新しい棟瓦を葺くためには、この古い瓦から撤去することになります。

そしてこの作業がとても大変なんです。
施工例写真5
瓦を外す作業は、ただ外すだけでなく
とても高い足場の不安定な所で
地上に降ろすため土嚢袋に瓦を詰め何度も何度も上げ下げするという

実際には200回近くその作業があったそうで
松田さんとスタッフさんで作業して剥がすのに約2日ほど要し
これでようやく新しい瓦を葺く準備ができました。
施工例写真6
しばらくしてカタチになったところで
まず一回目の取材へ。

屋外の作業は天候に左右されるため
普通なら1週間前後で終わるものも
突然の雨によって作業が中断するなど
このときも影響を受けることになりました。
施工例写真7
平岡八幡宮の棟付近の高さは
地上から約7〜8メートルでご覧の通り。

屋根の平部である流れはかなりの傾斜で
足場がなかったらゾッとするほど。

松田さんたちは一般住宅から社寺仏閣と
日々、このような場所で作業されているんですから
本当に頭が下がりますが

ちょっと顔を上げると京都の山々の景色が広がり
登った者にしか分からない気持ち良さがありました。
施工例写真8
晴天が続くと作業スピードが上がっていきます。

今回も使用するのは南蛮漆喰です。

神戸の震災以降、一気に土葺きから桟掛けに変わりましたが
棟部分にはこのように葺き土の代わりとして使います。

炭酸カルシウム、消石灰、シウム、マニラ麻をフノリで練ったモノで
防水性が高く、昔の葺き土に比べて質がアップしています。
施工例写真9
戸田さんが作業をする中で
松田さんが今後どのように進めていくか検討中。
施工例写真10
こちらの棟部には大きな丸太が入っていた為
通常通りだと鬼瓦との面が合わずのし瓦を何段にするか?

松田さんと戸田さんは相談されていました。

棟に積み上げるのし瓦の段数は、
両サイドにあります鬼瓦の高さに合わせていきますので
お寺の大きさによっては10段、20段となることもあります。

京都は社寺仏閣が多いので
是非 瓦や棟も意識して見て、建物に宿る職人技を感じてみてください。
施工例写真11
間近だけではよく分からないので
実際に仮の瓦をのせてみて・・・
施工例写真12
下りて松田さんと戸田さんは鬼瓦とのバランスをチェック。

棟は鬼瓦に向かって微妙にせり上がらせていくことで
下から見たときに真っ直ぐ見えることから
こうやって実際に参拝などに来た人と同じ目線で見て
最終的な決定をされることが定石です。

方向性が決まり
これから完成へ向けて本格的な作業が始まります。
施工例写真13
松田さんは中学生の頃から
おじいちゃんが瓦屋さんをされていたことから
春休みや夏休みの間にずっとアルバイトしていたことで
この世界に入ってこられ

技術を身につけるのも相当な苦労があったにも関わらず
松田さん自身は修業をしたという感じではなく
ごく自然なカタチで日常生活の延長線上のような

お話を聴いていてそんな印象を受け
根っからの瓦職人であり、屋根屋さんだなぁ思いました。
施工例写真14
とても気さくに
いろいろと話してくださった松田さんに
どんな屋根が松田さんにとって理想かつやっていきたいか?
その本音を聴いてみると・・・

やはり昔からある日本瓦の屋根が一番だと。

今でこそ大手ハウスメーカーが台頭したことで
新築の注文住宅よりも建売が増え
現場の職人さんには質よりもスピードが求めらているのが現状ですが。。。
施工例写真15
そんな作業効率と価格競争によって
カラーベストが主流になってきている今の建築業界ですが

瓦自体の耐久性はとても高く、50年単位でもちますが
瓦を使うことで家自体が重くなってしまい
地震などによる災害で倒壊しやすいということが言われています。

しかし、技術と経験のある大工さんが
しっかりとした土台の家造りをすれば逆に瓦の重さによって安定感が出ます。
施工例写真16
逆にカラーベストは施工のしやすさと価格が瓦に比べて
早く、安くできることから
そういったメリットばかりが情報として表に出ていますが

現場で働く松田さんが言うには
カラーベストになるとまず問題になるのが耐久性。

10年単位でのメンテナンスが必要になり
塗装し直すか、ひどい場合は葺き直しになること

アスベスト入りのカラーベストはまだ強度があるそうですが
問題になって丁度アスベストが入っていないモノが出回った時期に
家を造られた方は要注意で

特に耐久性が悪く、実際にそういった現場の調査に行くと
10年も経たないうちにカラーベストが
段ボールが水でふやけたような状態になっていたそうです。
施工例写真17
だから今のカラーベストはアスベストが使えない分
厚みを出して耐久性を高めようとしています。

ただ、カラーベストになると
瓦に比べて部屋の温度が上がってしまう為
夏場のエアコン代が高額になり安く施工できても
結局は電気代がかさんでしまうことになります。

瓦にもカラーベストにもメリット・デメリットはあります。

そんな屋根の迷いや不安も、松田さんに直接 相談すれば
親身になって納得のいく答えを導き出してくれるはずです。
施工例写真18
松田さんは今の建築業界のニーズが変わっていったことで
カラーベストから屋根板金など
屋根のスペシャリストとして様々な施工に対応できるよう
今も日々勉強してらっしゃいます。

今回の様に社寺仏閣の瓦の葺き替えは
数多くの現場で技術と経験を積んだ職人さんにしかできず
未熟な人がやってしまうと屋根本来の機能を果たせず
当然 見た目も悪くなるということが顕著に出ますので

是非その点を注意していただく目を養い
自分たちにとって良い職人さんを選んできただきたいと思います。


取材撮影&文 : とくおか じゅん

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