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今回は大工の杉原さんが手掛ける、仏間・床の間の新設リフォーム工事を二回に分けて取材してまいりましたので、その御仕事を御紹介させて頂きます。
場所は京都左京区一乗寺となりますが、此方は前回取材させて頂きました、ダイニングキッチン・トイレ・バスルームのリフォームを施工した御宅の追加リフォームと云うことです。
初回取材時には、既に仏間と床の間の形は殆ど完成してましたが、天井張り替えや障子窓の新設工事も残っており、また左官職人の手仕事として聚楽内壁(じゅらくうちかべ)仕上げを施す部分、畳職人さんが畳を張る作業もあって、まだまだ先が長い印象でした。
まだ完成前の床の間に杉原さんの仕事道具が綺麗に整頓されて置かれてありました。
これは一つ一つの道具をきちんと点検整備して持ち込み、現場でも整理整頓して使われているという、杉原さんの仕事のクオリティが伺える場面ですよね。 |
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施主様が希望される床の間・仏間のレイアウトを考慮すると、従来の天井竿は「床刺し」と云われる、仏間に天井竿が向かっていく状態なので、そこは日本建築の様式にしたがって、天井張り替えで対処される事になりました。
予め加工された規格製品の天井板を使いますが、天井面積に合わせて長さ・幅をカットして設置・固定して張り替えていきます。
杉原さんの大工仕事では、とにかく採寸と計算の場面が多いです。 大工職人仕様のiPhone片手にチャチャッと計算をして、寸法調整に必要な数を導き出します。
そして仕上げの美しさに拘る仕事にも手を抜くことはありません。 天井板と廻り縁(天井と壁の繋ぎ目)に発生する僅かな隙間(私には隙間として捉えられない程に極微かな隙間!)を手作業で削っていきます。
こういった作業は数年後に起こる木材の収縮を考慮して調整されているとの事で、経験がモノを云う、まさに職人技だと思いました。
気の抜けない真剣な手仕事が一段落すれば、御覧のような笑顔がこぼれます。
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丁寧な採寸と微調整を繰り返して切り出された天井板が一枚一枚張られていきます。
天井板は薄い木材合板で軽量に造られていますが、それでも自重でたわんでしまうので、天井裏からも固定してそれを引っ張る必要があります。
一枚目の天井板が張られると、天井面の水平を正確に出すために廻り縁に水糸がピンと張られます。
その水糸の水平線から天井板が一番反った所に、予め高さを調節した吊り木を設置し天井板と固定していくと、たわみのない水平が通った天井が出来ていきました。
普段は気に掛ける事のない天井ですが、想像以上に手の込んだ仕事がなされて、天井と云う形になっている事を知りました!
私の中では杉原さんの丁寧な仕事が、その基準となってしまったの で、街で見かける建物の採点基準も厳しくなってしまいそうです(笑) |
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さて此処からは杉原さんが今回手掛けた仏間・床の間の完成写真の数々を御紹介させて頂きます。
先ずは上段写真の流れから、天井部分の完成を御覧ください。
廻り縁との合いもピシっと決まっていて、それは精密な仕事をされた結果であるのが直ぐに伝わって参ります。
写真は一部分を大きく掲載していますが、もちろん部屋の周囲を囲む廻り縁に対して、全ての天井板が御覧の精度で仕上がっているのは云うまでもありません。
因みに写真下に見える障子窓ですが、これは今回特注で備え付けた窓になります。(後ほど御紹介致します) |
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次は、床間と仏間の完成した様子です。
京都・京北町まで杉原さん自らが買い付けに出向き、贅沢な「北山杉の天然絞り丸太」が選ばれ使われています。(北山杉の天然絞り丸太は、更にトップブランドとして知られる木材)
その天然絞りは、杉の表面(木肌)にコブ状・波状の凹凸(絞り)が現れた物で、その凹凸は品種・地質・日当たり等によって個々に違いが出る自然の表情なので、一つとして同じ物は存在しないのだそうです。
※因みに人工的に模様が出るように育てた「人工絞り材」もあるそうです。
床の間の落し掛けには「サルスベリの天然木」が使われており、木材表面に予め蝋引き処理が施されている木材を選ばれた事で、渋い茶色がアクセントになっています。
そして床框(とこがまち)や、仏間の落とし掛けには、檜の白木材が使われました。
様々な木材を利用していることで、個性的で美しい床の間・仏間となっている事がお分かり頂けると思いますが、これらは杉原さんが和室の設え方や、各材料の性質と相性を熟知しているからこそ形になっているのです。 |
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先程、少し御紹介させて頂いた和室の「障子窓」のBefore〜Afterです。
和室リフォーム前は、写真上のようにアルミサッシと磨りガラスがはめ込まれた味気ない窓でしたが、施主様の御要望に答えて「和室障子窓」へと返信させました。
と云っても「元々のサッシを取り外すことなく雰囲気を出せる事」が前提条件となっていたので、和紙の風合いを模様で再現した硝子窓と樹脂製枠の組み合わせで「和室障子窓」が再現されています。
此処の窓は殆ど閉めっぱなしで、採光が目的となっているので、これで十分に機能が果たせていると、施主様も納得の仕上がり。
コスト・パフォーマンスも考慮した必要十分な杉原さんの提案が形になっている部分ですね! |
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さていよいよ、床の間と仏間の全景になります。
施主様であるお父さんが、撮影するなら「さまになるように」と掛け軸と置物を出してくださいました。
やはり床の間ですから、そこに在るべきものがあり、本来の姿になっていくと、いっそうに重厚感が増し、この空間の贅沢さを感じます。
後日、仏壇も納められて、此方の和室が完成したとのことです。
障子襖と新設した障子窓からの柔らかい自然採光が、明るすぎず暗すぎずの陰影を作り出し、純和室の落ち着いた空間を演出しています。
ふんだんに使われた木材が年月を重ねていくにつれて風合いが変化していくのを楽しまれる施主様の御様子を思い浮かべてしまいます。
写真で紹介するスペースが無くて残念ですが、今回は和室の床の間・仏間の新設だけでなく、廊下を隔てた壁にあるサッシ窓にはシャッター雨戸を新設したり、隣の部屋から廊下に壁をつたうエアコン配管を目隠しする壁の工事(聚楽内壁仕上げ)も同時に行われています。
更に前回にはまだ工事途中だった、一階店舗とを繋ぐ通用口階段も、美しくリフォームされていました。 |
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前回のリビングキッチン・バス・トイレと、今回の和室・仏間・床の間のリフォーム工事を取材させて頂き感じたのは、施主様の日常生活を分析して、完成当日から普段使いする事に戸惑いが起きないよう、隅々まで細かく配慮して造り込む御仕事をされる、大工職人さんだと云うことです。
施主様の御要望をなるべく多く具現化する為にも、施主様との良好なコミュニケーション関係を築いていかなければならない。
そうすると、時には「難題」も求められますが、それは信頼と信用が積み重ねられた上での事であり、大工職人の腕が評価(期待)されている証でもある!と杉原さんはおっしゃいます。
京都市左京区はもちろん京都市内全域、近県地域での、和室増改築・床の間の増改築・仏間の増改築や、もちろん新築工事で、腕利きの大工さんをお探しでしたら、是非一度「圭工務店」の杉原さんへ御相談されてみては如何でしょうか?
もちろん無理難題に答えられる訳ではありませんから、あしからず御了承くださいね m(_ _)m |
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