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岐阜県高山市は言わずと知れた豪雪地帯! 暖冬の今年は積雪が少ないですが例年の今頃なら1メートルは降り積もり、道路も各家庭も除雪に大忙しな所です。
そんな高山市市街地の更に山側にある清見町に山音建築工房は在ります。
この地で四季を通じて暮らす岡上さんの御自宅兼事務所には薪ストーブが設置され、それ一つで冬期の暖房をまかなっています。
ただし極寒の冬を快適に暮らす為の工夫はかなり凝ったものでした!
此処では岡上さんが31年の薪ストーブ歴で培った、様々なポイントを組み合わせ合理的に構築した薪ストーブ高効率暖房システムをご紹介致します。 |
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薪ストーブは先にご紹介したとおり御自宅の広いLDKに設置されています。
長年掛けてさまざまな機種を試された結果、最後に落ち着いたのがカナダ製・リージェンシー薪ストーブで、それの外気導入型を採用されました。
この薪ストーブはカタログ性能上、熱効率77.7%で広さ100平米までに対応した優れた製品ですが、岡上さんは更に効率を高める工夫を加えて、吹き抜け天井・床100平米以上のLDKと二階とロフトの各部屋、すなわち家全体を効率的に温める事に成功しています。
それは簡単に云うと床暖房を兼用したシステムなのですが、その熱源はLDKに設置した薪ストーブの熱源だけで賄っているのが素晴らしい所です。
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ストーブが発する熱でお湯を作り、そのお湯を床下に這わせたパイプに通らせて温水循環型床暖房システムを考えました。 ※パイプの総延長は200メートルを超えるとの事!
このシステムを構築するにあたり、薪ストーブ上部には新たにオリジナル水槽が設けられました。
水槽には常に水が蓄えられてるので、薪が焚べられていると放っておけば沸騰・蒸発するまで熱が加わり続けてしまいます。
それを防ぐため水槽内の水温は管理され、設定水温になるとサーモスタットと連動したモーターが稼働し、沸騰してしまう前にバルブが開いて温水がパイプを流れて床を暖める仕組みです。
床を暖めて冷めた水はパイプを通して薪ストーブ上の水槽に戻り、再び暖められて循環していく全自動床暖房システムなのです。
ストーブの熱を奪ってしまうのではなく、無駄に逃げてしまう熱を再利用しており、必要なエネルギーは水温管理&モーター用の電源のみ!ですから、本当に素晴らしいですね!!
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更にもう一つの工夫が。 床暖房と薪ストーブの兼用で温めた空気は、室内の高い所へ逃げていってしまいます。
熱は空気中に解放されると、すぐさま上昇して行くからです。
一般的には上に逃げた熱をサーキュレーター等を用いて、再び床面まで戻すなどの工夫をされるのですが、岡上さんは吹き抜けの一番高い所に空気取り込みダクト(煙突横の四角い部分)を設置しました。
天井に溜まった暖かい空気をダクトからから取り込み、強制的に床下に送り込んで、部屋の各所に設けられた空気排出口から吹き出させて温熱空気の再利用を実現してるのです!!
この仕組であれば天井に溜まった温かい空気を強制的に床下に送るので、空気が圧縮され熱損失が僅かである事と、薪ストーブ温水床暖房のパイプが這う床下空間を兼用する事で、送り込まれた空気も更に温められている「いいとこ取り」のシステムなのです!
薪ストーブを設置しただけでは達成できない室内の快適温度保持、徹底的に高効率を考え練られた、エコロジー暖房システム、完璧なエネルギーリサイクルを達成したのが「山音建築工房」の暖房設備でした。
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外は氷柱が出来るほどにキンキンに冷えていますが、岡上さんの家の中は快適そのもの。
四匹の猫ちゃんがゆったりノンビ〜リくつろいでいるのがその証拠♪猫は快適空間を見つける天才ですから♪♪
床暖房のコルク床と、天井から床下をつたってきた温風が穏やかに暖かい部屋空間を生み出していました。 ※温風吹き出し口を窓の際に設置する事で窓から伝わる冷気を暖めているのもポイントです。 因みにカーテン等の類で冷気を遮熱する必要もないのだそう!
暖房に必要な経費は冬が長く極寒の地域にも関わらず、シーズン毎/数万円と云うコストパフォーマンスであるのも驚きです。
これは熱の性質を上手く利用した薪ストーブ暖房の完成形と思えました。
この床暖房システムの構築は床下の工事も伴う為に新築時に造るのが理想的だそうですが、空気循環のシステムは簡易的な物も製作可能との事。 それは例えばバルコニー温室の気温管理等で既に活躍しているとの事ですから実績のあるシステムです。
高山市や飛騨地方など岐阜県の、寒い地域で部屋全体を効率的に温めて快適に暮らしたい方、また薪ストーブの設置・導入をお考えの方は、薪ストーブ歴31年の山音建築工房の岡上さんに御相談ください。
取材撮影;末光誠 |
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