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此度の得意先は、大変大きなお庭です。 お庭の手入れ(管理作業)も去る事ながら、 立派な「黒松」が家敷を囲う様に聳えています。
こちらでは毎年、冬場に職人用語で松の古葉(ふるば) ムシリの作業を行います。 昨年に残した葉を今年の葉を少し残して 芽に沿わせて古葉を指でひと芽ずつ ムシって行います。 だいたい秋口から冬場に行う作業です。
冬場に入ると、何分素手で行うので、 指は悴み赤ギレや割れたりで 手はボロボロになります。 勿論ながら、松ヤニで手は真っ黒です。 特に京都では、毎日の様に時雨たり 雪模様に成ります。
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どのような庭木でもそうですが、 作業は樹木の頂上、 職人用語で天端(てんば)からかかります。
一番背の高い松にも成りますと、 足元は悪い物のお家敷の瓦や 庭園全域を眼下に見下ろします。 ここでは、瀬戸内海(笠岡湾)や コンビナートが見えます。 |
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作業前は、やや重苦しく混んでいた松も 葉ムシリが進行していくにつれて、 本来の美しい姿、黒松らしい堂々とした幹、 優美な枝振りが現れます。 |
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全ての作業が完了すると、 庭も落ち着きを増し、椿や梅などの花が咲き お家敷に沿って流れるせせらぎにも水が戻り また、今年も春が訪れます。
仕上がった松を拝見すると、手の痛みも忘れて こちらの庭で癒されて帰ります。 |
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