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あれから4ヶ月・・・
大阪府堺市の浦工務店の浦さんから 『 (お家の内装工事・リノベーション)が完成しました 』 とご連絡を頂き 三度目となる取材で大阪府高槻市にあります こちらのお家に伺いました。
到着すると 前回の取材では二又の変木を柱に使った状態でしたが この日 伺うと庇 (ひさし) が取り付けられていて 丁度、浦さんがその庇に 塗料を塗って最終の仕上げをされているところでした。 |
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こちらのお宅を初めて取材させて頂いたときは 解体をして、まずは家の土台を強化するための 耐震補強をされているところだったので
このように立派なカタチとなって完成すると 感慨深いモノがありました。
浦さんはこの4ヶ月の間 毎日 堺市から高槻まで通って 合間には何度も吉野に足を運んで変木を選定してようやく完成し
誰よりもこの家と向き合い続けただけに 喜びと共に充実した表情をされているように感じました |
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丸太だけで構成された玄関庇の上はこのように 『 板瓦 (いたがわら) 』 という その名の通り、板を瓦の代わりしたやり方で造られています。
実際に脚立をお借りして拝見させて頂きましたが 本当に瓦屋根の様に 木と木が段々と重なるようにキレイに積み上がっていて
これは浦さんが過去に他の現場で見たモノが ずっと頭の中に残っていて いつかやってみたいと思ってらっしゃったそうで その想いが月日を経てようやくカタチになりました。 |
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『 変木の魅力を出したい 』 をテーマに 一般住宅が建ち並んだ中でインパクト十分の玄関。
暖簾を出せば 和食のお店にも見える上品さも兼ね備えた雰囲気で 中に入ると、二度目の取材時にお邪魔した様子が 跡形もなく残っていない さらに和の空間が広がっていました。
それでは浦さんに案内していただきながら 1つ1つ見ていきましょう。 |
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こちらは玄関の上り口には杉の木が使用されています。
玄関上がるときにはまず目が行きます。
変木は自然が生み出したモノなので 思い通りの形があることは少ない中 丁度、合いそうなモノがあったと仰ってました。 |
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玄関入って左手には下駄箱があります。
元々、こちらの家主さんが使用されていた 既製品のモノでは雰囲気に合わないということで 杉板を使った完全なオリジナルの下駄箱です。
手の込んだ造りのように見えましたが 浦さんの経験と技術を持った領域に達すると 『 こんなの簡単だよ 』 と仰るので
そこが浦さんの大工職人としての レベルの高さが伺える何気ない一言ですね。
一般的に単体で買うとそれなりの金額になりますが このように浦さんに相談すれば 予算の範囲内で工事と並行して造っていただけます。 |
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こちらにあります棚は 家主さんがヘルメットなどを置くので 三段で造ってほしいということで
上から 杉 (すぎ) 檜 (ひのき) 欅 (けやき)
・・・と あえて種類の違う銘木を使って造るという 浦さんのこだわりが垣間見れました。 |
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トイレでは、腰板に竹が使用されていて 下から見上げると本当に竹が上に伸びているように見えます。
壁は珪藻土で仕上げられ 本当に和食屋さんのトイレのようにしか見えません(笑)
竹が入ることで とても落ち着いた空間になっているように感じました。 |
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トイレの天井もごらんのように 板と竹を使って吹き寄せされており
ちょっとした工夫が、細部にまでこだわるという 浦さんの想いがすごく伝わってきます。
珪藻土の壁は除湿効果があるそうです。 |
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こちらは台所です。
床は桜の無垢材が使用されていて 耐用年数も長く、磨くと光沢が出ます。
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台所の天井には これぞ浦さんという代名詞の 『 センターエース 』 です。
三角関数を使って計算された 今回は八角形にして中に星形を組み合わせ 飾り天井の様にし テーブルの位置も想定して場所を決めるという
ただ自分のこだわりを出すのではなく お客様の生活される姿を想像しながら それに適した創造をしていくことが一番大切で
これには家主さんも大変喜ばれていました。 |
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システムキッチンを新調されました。 |
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こちらの無垢の建具は 浦さん行きつけの吉野で安価で見つけることができたそうで それに合わせて鴨居と敷居を造られました。
そういったパイプがあるからこそ 臨機応変に対応でき 予算の範囲内で無理のない施工ができるところが 浦工務店さんに依頼する一つの強みであります。
建具裏のスペースは 食器棚や冷蔵庫が置けるように想定されています。 |
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洗面所と洗濯機置き場。 |
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お風呂場。
実際に中に入ると最近主流の床が柔らかく 滑りにくい素材が使用されています。 |
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このように玄関入って 台所、お風呂場と段差のない スムーズな動線で造られているのがよく分かります。 |
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そしてこちらは一番奥にあります8畳の和室です。
二度目の取材時にはぼんやりとした形で まだ全貌が想像できませんでしたが まず入って気がついたのは
すべて木材だけで造ったということで 部屋全体に木の香り広がっていて 自然の中にいるような心地良い空間になっていました。 |
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こちらの柱は通し柱として 家を支える上で重要な柱と言うことで 構造上動かすことができなかったそうですが
杉の木を使用して 家を支えている守り神のような出過ぎない存在で 和室の空間にマッチしています。
左手に見えるのは仏間用のスペースで 先祖様の存在を大切に考える浦さんだからこそ ここでも変木を使って上部には飾りも施されています。
奥はウォークインクローゼットになっていて 今は扉がありませんが このあと建具屋さんが引き戸を設置される予定です。 |
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先ほどの画像の右上には見えます格子状のモノは 家主さんのご要望で 竹を使ってこのようなカタチにされました。
玄関の変木と同様 枝を落としきることなく少し残すことで 木としての存在感を出し 何か小物などかけたりもできます。 |
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天井は 『 格天井 』 といって
丸の竿を使って格子状に仕上げ 全面に杉板が使用されていて
前回の取材では何もない状態だったこともあって まず和室に入って目が行きました。 |
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階段下を利用して造られた床の間。
赤色が印象的だったことで 壁にも変木をふんだんに使用し より和室らしさが出ています。
どれだけ構造にこだわっても 目に見える箇所がキレイでないと台無しになってしまいますが
床の間も含め壁は浦さんの信頼する左官屋さんが 一流の技術で丁寧に仕上げたモノで
土壁には藁 ( わら ) が練り込まれていて 補強や亀裂を防ぐ効果があります。
窓際の障子は雪見障子と言って 障子の下半分がガラスになっていて 手動で障子を上下動でき外の様子が見える構造で 僕自身 初めて見たのでとても驚きました。 |
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左上に見える欄間には 浦さんがストックしていた幾つかのモノを 家主さんに選んでもらったそうで 枠を造ってそこにはめ込みされました。
和室がひとつひとつ凝った造りになっていることから こちらの縁側も床は檜を、屋根には竹を使って とことん無垢材にこだわり
奥には収納スペースもあって重宝しそうですね。 |
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縁側から見た和室の様子です。 |
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そして最後はウッドデッキ。
元々、駐車スペースだった場所に ごらんのように角材を並べた頑丈な床に仕上げ
玄関と似た三又の変木を柱に使用し 丸の無垢材だけで造って そこに耐熱性や曲げに優れた ポリカーボネートが屋根に使用されています。
春や秋にはここでちょっと昼寝でもできそうなくらいの 心休まるスペースになっています。 |
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玄関からすべてのドアがスライド式の引き戸で統一され 和室までの動線が一直線で
スペースを無駄なく有効活用された空間で 浦さんのこだわりがふんだんに詰め込まれた 気持ちのこもった家に仕上がっていました。
見た目の真新しさだけでなく 事前の耐震補強も的確にしてこそ成り立つ家。
一般的な工務店さんに頼んでも 正直 ここまでの配慮は到底できるモノではなく 浦さんだからこそ、できる、分かる 安心・安全・斬新な家造りがそこにありました。
取材撮影&文 : とくおか じゅん |
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