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遠い昔にタイムスリップしたかのような
そんな独特の風情ある町並みのここは奈良県橿原市今井町です。
今回は、大阪府堺市の大工さんで
銘木・変木を扱わせたらこの人!という達人の浦さんが
築30~40年になる一般住宅の内装リフォームをして
新しく店舗(カフェ)を造られたと聴き
仕事半分、興味半分の公私混同のような取材をしてきました。
外観からは普通の家にしか見えませんが
ここで新しく 『 見晴らし茶屋 ももや 』 として
今井町の風景を眺めながらお茶を楽しむことができます。
ホームページはこちら
https://momoya.org/
遠い昔にタイムスリップしたかのような
そんな独特の風情ある町並みのここは奈良県橿原市今井町です。
今回は、大阪府堺市の大工さんで
銘木・変木を扱わせたらこの人!という達人の浦さんが
築30~40年になる一般住宅の内装リフォームをして
新しく店舗(カフェ)を造られたと聴き
仕事半分、興味半分の公私混同のような取材をしてきました。
外観からは普通の家にしか見えませんが
ここで新しく 『 見晴らし茶屋 ももや 』 として
今井町の風景を眺めながらお茶を楽しむことができます。
ホームページはこちら
https://momoya.org/
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玄関入って早速 上がり框と
階段下のスペースに施された変木が目に飛び込んできます。
元々、50平米(15坪)の一般の住宅だったという
どこにでもある家の形だったモノを店舗にするということで
まずお客さんを出迎える玄関を広く取り
右手に事務所、左手に調理場を設けられました。
浦さんに説明していただきながら
そのこだわりを1つ1つ観ていきましょう。
玄関入って早速 上がり框と
階段下のスペースに施された変木が目に飛び込んできます。
元々、50平米(15坪)の一般の住宅だったという
どこにでもある家の形だったモノを店舗にするということで
まずお客さんを出迎える玄関を広く取り
右手に事務所、左手に調理場を設けられました。
浦さんに説明していただきながら
そのこだわりを1つ1つ観ていきましょう。
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伊吹(イブキ)の木が使われいている上がり框。
はじめはもう少しR型の曲線を帯びた変木で造りたいと
イメージされていたそうですが
変木は一般の材木のように好きな形に加工したモノではなく
自然でできた偶然の産物のため
玄関に適した変木を見つけて調整されました。
床板は専用の工具で変木を削って嵌め込んであり
普通、木の窪みなどは不良品と見做され
建築材として使われないそうですが
浦さんはこれも自然出来た一種の芸術(模様)だと捉え
極力手を加え過ぎないありのままで
今回はそこにカラフルな小石を置くことで
見た目にもちょっとお洒落さを演出し
更に框の下にはダウンライトも施されています。
伊吹(イブキ)の木が使われいている上がり框。
はじめはもう少しR型の曲線を帯びた変木で造りたいと
イメージされていたそうですが
変木は一般の材木のように好きな形に加工したモノではなく
自然でできた偶然の産物のため
玄関に適した変木を見つけて調整されました。
床板は専用の工具で変木を削って嵌め込んであり
普通、木の窪みなどは不良品と見做され
建築材として使われないそうですが
浦さんはこれも自然出来た一種の芸術(模様)だと捉え
極力手を加え過ぎないありのままで
今回はそこにカラフルな小石を置くことで
見た目にもちょっとお洒落さを演出し
更に框の下にはダウンライトも施されています。
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もしこれが住居であれば階段下は
扉付きの収納スペースにしても良かったとのことですが
今回はお店になるということから
今井町の雰囲気と、入ってからのインパクトを出すために
小石を敷き、杉の変木でできた飾り棚と
トーチランプで焼き付けて模様をつけた竹を使って
坪庭のような雰囲気にされました。
緑のモノを置けば更にその雰囲気が増すはずです。
もしこれが住居であれば階段下は
扉付きの収納スペースにしても良かったとのことですが
今回はお店になるということから
今井町の雰囲気と、入ってからのインパクトを出すために
小石を敷き、杉の変木でできた飾り棚と
トーチランプで焼き付けて模様をつけた竹を使って
坪庭のような雰囲気にされました。
緑のモノを置けば更にその雰囲気が増すはずです。
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そして玄関を見上げた
4畳半程の広さのある天井をそのままフラットにするのは
なんか味気ないというか、もったいないからと
浦さんの代名詞とも呼ぶべき 『 センターエース 』 が
どど~んと圧倒的な存在感を放っています!
これまで8角形をメインに造られてきましたが
浦さんのご家族や銘木屋さんなど
よく知る人にとっては新鮮味がないことと
他の大工さんの追従を許さず
自分の腕を鈍らせないためにという
大工職人としての意地とプライドをかけて
今回、初の16角形に挑戦され見事に花開きました。
間近で見るとホント浦さんの熱意が強烈に感じられるほどの
精巧さと技術の高さに圧倒されます。
そして玄関を見上げた
4畳半程の広さのある天井をそのままフラットにするのは
なんか味気ないというか、もったいないからと
浦さんの代名詞とも呼ぶべき 『 センターエース 』 が
どど~んと圧倒的な存在感を放っています!
これまで8角形をメインに造られてきましたが
浦さんのご家族や銘木屋さんなど
よく知る人にとっては新鮮味がないことと
他の大工さんの追従を許さず
自分の腕を鈍らせないためにという
大工職人としての意地とプライドをかけて
今回、初の16角形に挑戦され見事に花開きました。
間近で見るとホント浦さんの熱意が強烈に感じられるほどの
精巧さと技術の高さに圧倒されます。
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ももやさんでは
玄関入ってまず食券を買って
その後、左手のキッチンの小窓からお茶などを
お渡しするシステムのため
取り外し可能なカウンターが設置されました。 (※ 上画像)
右手の事務所スペースから見える窓枠も
建具からすべて変木が使用され
レールが取り付けられたカウンターは
80年以上経過した木だから耐久性も抜群とのこと (※ 下画像)
ももやさんでは
玄関入ってまず食券を買って
その後、左手のキッチンの小窓からお茶などを
お渡しするシステムのため
取り外し可能なカウンターが設置されました。 (※ 上画像)
右手の事務所スペースから見える窓枠も
建具からすべて変木が使用され
レールが取り付けられたカウンターは
80年以上経過した木だから耐久性も抜群とのこと (※ 下画像)
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キッチンの壁も本当なら木でやってほしかったという
オーナーさんの希望があったそうですが
保健所の関係で、衛生面と掃除のしやすさから
パネルが張り付けられています。
キッチンの壁も本当なら木でやってほしかったという
オーナーさんの希望があったそうですが
保健所の関係で、衛生面と掃除のしやすさから
パネルが張り付けられています。
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基本的には土日祝での営業されるため
平日は住居としての機能も欲しいということから
奥に進むと、トイレ、洗面台、洗濯機置き場
そしてお風呂と生活できる設備も完備。(※ 上画像)
行き来する扉も折れ戸にすることで
スペースを無駄なく有効活用され
少し木の温もりを出したいと浦さんの配慮で
手洗い場は木のカウンターを設置し
下はちょっとした収納もできるようになってます。(※ 下画像)
基本的には土日祝での営業されるため
平日は住居としての機能も欲しいということから
奥に進むと、トイレ、洗面台、洗濯機置き場
そしてお風呂と生活できる設備も完備。(※ 上画像)
行き来する扉も折れ戸にすることで
スペースを無駄なく有効活用され
少し木の温もりを出したいと浦さんの配慮で
手洗い場は木のカウンターを設置し
下はちょっとした収納もできるようになってます。(※ 下画像)
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まだまだ見所たくさんで次は
浦工務店スペシャルバージョンの光る階段です!
先ほどの階段下の坪庭スペースが裏側にあたり
互いを3mのLED帯ライトが照らし
しかも、こちらの階段側の照明は
数秒ごとに色が自動で変化していきます。
階段はヒノキと米松、横板は杉とパイン材で構成され
以前よりも傾斜を緩くすることで
上り下りしやすいように造り直されました。
まだまだ見所たくさんで次は
浦工務店スペシャルバージョンの光る階段です!
先ほどの階段下の坪庭スペースが裏側にあたり
互いを3mのLED帯ライトが照らし
しかも、こちらの階段側の照明は
数秒ごとに色が自動で変化していきます。
階段はヒノキと米松、横板は杉とパイン材で構成され
以前よりも傾斜を緩くすることで
上り下りしやすいように造り直されました。
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二階に上がると
元々、和室2間の洋室1間だった面影は一切なくなり
ここでもインパクト大の変木さんがお出迎え。
この変木を見つけた時・・・
すぐに階段の手すりに使える!
そんなイメージが湧くのはこの世で浦さんだけです(笑)
銘木屋さんですらどこで使うの?というくらいの
ここまで曲がった木ですから当然と言えば当然で
来店したお客さんも
流石にこれが目に入るとつい間近で見て触りたくなるはずです。
二階に上がると
元々、和室2間の洋室1間だった面影は一切なくなり
ここでもインパクト大の変木さんがお出迎え。
この変木を見つけた時・・・
すぐに階段の手すりに使える!
そんなイメージが湧くのはこの世で浦さんだけです(笑)
銘木屋さんですらどこで使うの?というくらいの
ここまで曲がった木ですから当然と言えば当然で
来店したお客さんも
流石にこれが目に入るとつい間近で見て触りたくなるはずです。
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二階のお客さん用トイレも凝ってますよ~♪
珪藻土のクロスと
腰壁だけでは物足りん!と浦さん。
なんと床まで竹を張り付けるという独創芸を披露。
実際に歩くと竹踏みしてるような感触で
天井の杉板と杉板の繋ぎ目にも竹を使うという
用を足すことよりもつい浦さんの仕事ぶりを見入ってしまう
それくらいの手間暇とこだわりが詰まってる空間です。
二階のお客さん用トイレも凝ってますよ~♪
珪藻土のクロスと
腰壁だけでは物足りん!と浦さん。
なんと床まで竹を張り付けるという独創芸を披露。
実際に歩くと竹踏みしてるような感触で
天井の杉板と杉板の繋ぎ目にも竹を使うという
用を足すことよりもつい浦さんの仕事ぶりを見入ってしまう
それくらいの手間暇とこだわりが詰まってる空間です。
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トイレの横に設置された手洗い場にも
ご覧の変木が堂々たる態度で立っています。
この木があるのとないのとでは
二階に上がったときのインパクトが全然違くて
『 いつか使ってやるからな 』 と
自宅でずっと大切に取って置いた我が子のような変木を
今回、ようやくこのタイミングで使えるとなり
手洗い場が1つの空間のようになったと浦さん。
見るだけでなく、タオルを掛けたりもできますと
オーナーさんはこの使い方にも
大変な驚きと共に満足されてるご様子でした。
トイレの横に設置された手洗い場にも
ご覧の変木が堂々たる態度で立っています。
この木があるのとないのとでは
二階に上がったときのインパクトが全然違くて
『 いつか使ってやるからな 』 と
自宅でずっと大切に取って置いた我が子のような変木を
今回、ようやくこのタイミングで使えるとなり
手洗い場が1つの空間のようになったと浦さん。
見るだけでなく、タオルを掛けたりもできますと
オーナーさんはこの使い方にも
大変な驚きと共に満足されてるご様子でした。
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階段上がって右手には元々あったベランダの屋根を高くし
窓も磨りガラスから透明なガラスに変え
今井町の景色を眺めながら
ゆっくりとお茶をすることができます。(※ 上画像)
採光も十分に取られた二階スペースですが
更にオーナーさんのご希望により
壁をぶち抜いて透明なアクリル板をはめ込み
光が更に行き渡るようにされ
ワンフロアが更に繋がったような印象です。(※ 下画像)
階段上がって右手には元々あったベランダの屋根を高くし
窓も磨りガラスから透明なガラスに変え
今井町の景色を眺めながら
ゆっくりとお茶をすることができます。(※ 上画像)
採光も十分に取られた二階スペースですが
更にオーナーさんのご希望により
壁をぶち抜いて透明なアクリル板をはめ込み
光が更に行き渡るようにされ
ワンフロアが更に繋がったような印象です。(※ 下画像)
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2間続きの和室の欄間だけを残し
壁も天井もぶち抜かれた解放感抜群のフロア。
オーナーさんが初めて見た時に感動したという
今井町の町並みが一望できる場所ということで
欅(けやき)のカウンターを窓側に配置して
お客さんにぜひ景色を楽しんでほしいという
オーナーさんの想いが一番感じられる場所です。
2間続きの和室の欄間だけを残し
壁も天井もぶち抜かれた解放感抜群のフロア。
オーナーさんが初めて見た時に感動したという
今井町の町並みが一望できる場所ということで
欅(けやき)のカウンターを窓側に配置して
お客さんにぜひ景色を楽しんでほしいという
オーナーさんの想いが一番感じられる場所です。
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解放感を出すために天井をぶち抜いて高くし
杉板を一枚ずつ上に向かって張ってありますが
このように張ることで屋根らしさが強調されるという
縦縞と横縞の服で体形の見え方が変わるのと同じ原理で
人間の目の錯覚を利用した張り方になります。
更に浦さんは見た目だけでなく末永く安全にと
耐震性を高めるための補強材として丸太を一本
しかもそれを真ん中に入れることで
照明も取り付けられるようにされました。
解放感を出すために天井をぶち抜いて高くし
杉板を一枚ずつ上に向かって張ってありますが
このように張ることで屋根らしさが強調されるという
縦縞と横縞の服で体形の見え方が変わるのと同じ原理で
人間の目の錯覚を利用した張り方になります。
更に浦さんは見た目だけでなく末永く安全にと
耐震性を高めるための補強材として丸太を一本
しかもそれを真ん中に入れることで
照明も取り付けられるようにされました。
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押し入れや床の間は以前のままですが
扉などの建具は雰囲気に合ったモノへと
浦さん自ら造られました。
天井部にあるエアコンの空調が
フロア全体に行き渡るよう欄間の上を開け
日本橋で見つけたという和テイストのシーリングファンで
循環できるようにも工夫されてます。
押し入れや床の間は以前のままですが
扉などの建具は雰囲気に合ったモノへと
浦さん自ら造られました。
天井部にあるエアコンの空調が
フロア全体に行き渡るよう欄間の上を開け
日本橋で見つけたという和テイストのシーリングファンで
循環できるようにも工夫されてます。
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ももやのオーナーさんははじめ
浦さんのこれまでの施工例(実績)を見て
こんな大工さんが世の中いるんだと
芸術家タイプの若い職人さんかと思われていたそうで
変木の扱いの柔軟さに思わず驚き、その腕に惚れ
すぐにコンタクトを取って会い、打ち合わせをして
話もトントン拍子に進んで決定したそうです。
確かにこうやって浦さんから説明を聴きながら
1つ1つの仕事を見ていくと
既成概念に捉われない独自の思想が感じられます。
ももやのオーナーさんははじめ
浦さんのこれまでの施工例(実績)を見て
こんな大工さんが世の中いるんだと
芸術家タイプの若い職人さんかと思われていたそうで
変木の扱いの柔軟さに思わず驚き、その腕に惚れ
すぐにコンタクトを取って会い、打ち合わせをして
話もトントン拍子に進んで決定したそうです。
確かにこうやって浦さんから説明を聴きながら
1つ1つの仕事を見ていくと
既成概念に捉われない独自の思想が感じられます。
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5年前に手掛けた現場へ行ったら
変木が言葉では言い表せない
何とも味わい深い色に変わっていたそうで
今は真新しい 『 ももや 』 の変木たちも
これから月日と共に変わっていきますと
我が子を送り出す親のような気持ちが
浦さんの発する言葉から感じられました。
『 見晴らし茶屋 ももや 』 さんは
土日祝の10時~日没まで営業ということで
週末、今井町に行った際は
お茶と景色とお店と三位一体となった雰囲気を
ぜひ一度、味わってみてください。
取材撮影&文 :
とくおか じゅん
5年前に手掛けた現場へ行ったら
変木が言葉では言い表せない
何とも味わい深い色に変わっていたそうで
今は真新しい 『 ももや 』 の変木たちも
これから月日と共に変わっていきますと
我が子を送り出す親のような気持ちが
浦さんの発する言葉から感じられました。
『 見晴らし茶屋 ももや 』 さんは
土日祝の10時~日没まで営業ということで
週末、今井町に行った際は
お茶と景色とお店と三位一体となった雰囲気を
ぜひ一度、味わってみてください。
取材撮影&文 :
とくおか じゅん