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前項・兵庫県尼崎市 珪藻土塗りAへ 二度塗りの一回目が終わると、続いて仕上げ塗りの工程に掛かります。
表面が乾燥すると仕上げが出来ないので霧吹きで水を噴きかけて湿り気を保たせながら作業がされます。
仕上げ塗りはとても繊細な作業なので、ソレまで気さくにお話ししてくださっていた野村さんがスッと無言になりました。
腕を動かして珪藻土をならしている時は、呼吸すら止めて集中した作業になるそうです。
でもコレはまだ難しい部分の序盤に過ぎません。 |
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窓デザインの周囲が塗り上がったので、いよいよ左官職人の最大の腕の見せ所、アーチ状の内側部分に珪藻土を盛っていきます。
仕上げの工程に入るまでは「職人が手元から眼を離して、仕事中に笑っとったら怒られるで〜!」と言いながら、気さくに撮影のリクエストにも応えてくださる野村さん。
先にも述べましたが、これを左官仕上げで行うには高い技術力が必要となるそうです。
余談ですが、近年はクロス等の壁紙仕上げが多く用いられ、それが故に、しっかりした塗りの技術を持った左官職人さんが育ちにくい環境になっているとおっしゃられていました。 「壁紙が無かった自分が若い時代は、嫌でもコテと塗り壁材と格闘して親方に怒られながらの仕事やったけど、左官職人としての技術を磨けたのが有り難かった!今の若い職人さんは技術を磨く機会が無いから可哀想やで!」とも。 |
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写真から複雑な形状の壁デザインなのがお解りになれるかと思います。
一回目は塗りが荒い状態のままなので、部分をアップにすると写真上段・円の中のようになっています。
二回目の塗り、仕上げではカーブの曲面と段差の凹凸の角に合わせた形状の小さなコテに持ち替えての作業になります。
コテを壁に押し付けつつ動かす速さと距離のバランス加減が、野村さんのようなベテラン左官職人さんでも難しいのが伝わる緊張の場面でした。 |
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塗りの作業を進めていくうちにコテには珪藻土の壁塗り材が付着していきます。
コテの表面は常に綺麗にしておかないとムラの原因になりますので、頻繁に余分な材料を洗い落しながらの塗りの作業をしていきます。
そして、この窓デザインの珪藻土壁を仕上げる際に用意されたコテの数々!
幅や抑える箇所の形状により使い分けるそうですが、コレといった決まりはなく自分の手の感覚でソレを選ぶそうです。
特にコテの素材・薄さによって反発力等も異なったり、同じものでも個体差があるので、自分の手に馴染んだ道具もあれば、買ったは良いけれど一度も使わないで十年以上新品のままと言う、コテもあるとの事。
もちろん写真のコテは極一部!仕事で使うトラックには常時、数百本のコテが用意され現場に持ち込まれています。
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