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大阪府高槻市沢良木町にある(有)石田建具の石田秀諭社長は、社名の通り、建具を中心にした仕事が多いのですが、一方で、表具職人として、その技を見せてくれます。
今日は、その技の一端である、襖の貼り替えをご覧いただきます。
石田社長は、手先が大変、器用なので作業の迅速さには、舌を巻いてしまいます。
今回の襖の貼り替えについては、お客様と価格の点や、襖紙の柄の取り決めをしっかり行って、作業にかかっていきました。
今回、引き取ってきた古い襖は、8枚ありました。
石田社長は、新しい襖紙を8枚勘定して、一枚の新襖紙の上に、引き取ってきた、襖を置いて、カッターで外側を、落としていきました。 |
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石田社長は、次に水を汲んできて、刷毛に十分水をつけて、新しい襖紙の裏側に、塗っていきます。
襖紙全体に万遍なく、水を塗り込んでいきました。
表具職人さんの作業を拝見していて、いつも思うことは、紙に対する水加減の難しさを意識してしまいます。
石田社長は、長年の経験から、どの程度の水が適当かを、作業をしながら、身体で覚えた感覚で、水を襖紙に塗っていきました。 |
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次に、石田社長は、引き取ってきた、お客様の襖の縁は、そのままで、引き手だけを取り外しました。
そして新しい糊を用意して、引き取って立てかけてある、襖の上から直に縁回りをのり付けしていきました。
上下左右の縁回りをしっかりのり付けしていくのです。 |
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休む間もなく、石田社長は、水で湿らせた新しい襖紙を取り上げて、今、縁回りに糊を塗った、襖の一番上の部分に、襖紙を当てて、貼り付け作業に入ります。
縁回りには、のり付けされていたので、紙の伸縮に任せて、あまり引っ張った貼り付けにはしません。
上下左右の縁近くには、特にしっかり貼りつけるように、意識していました。 |
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石田社長は、すぐに縁回りの場所へ、素手で襖紙を軽く押して、しっかり糊付けができるように押えていきました。
上下左右の縁回りを全て、しっかり押さえ込んで糊付けを完了しました。
その後、その襖を作業台の上に、乗せて、襖紙の裁断の工程に入っていきます。
襖の縁と今、貼った襖紙を上から、地ヘラで押えて縁まで持って行き、縁の溝の部分でカッターで切断します。
その後、その不要な襖紙を引っ張って除きますが、どうしても糊が縁に付いたままなので、手ぬぐいで、拭っていきました。 |
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石田社長は、次の襖紙を貼る際にも、地ヘラを使って、しっかり襖の縁まで引っ張り、縁の溝で、カットします。
その作業を上下左右の全ての縁でしっかりカッターで裁断します。
襖紙の糊がどうしても、襖の縁に付いてしまいますので、手ぬぐいで、その糊をきれいにふき取っていきました。
最後に、霧吹きを襖紙にかけますが、ほんの少しの霧吹きで済ませます。そのくらいで良いと、石田社長は、断言していました。 |
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石田社長は、一枚目の襖の貼り替えを終えたので、二枚目の襖の貼り替えにかかっていきました。
新しい襖紙への水塗り、襖の縁回りへの糊の上塗り、新襖紙をしっかり縁回りで貼り込み、余った襖紙を地ヘラを使って、カッターでカットする。付いた糊の手ぬぐいでの除去。
自分で作ったヘラを見せてくれて、そのヘラで、襖紙を延ばしていきます。
一連の流れで、石田社長は、作業を進めていきます。 |
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最後に地ヘラを使って、襖紙を縁まで延ばす感じで、縁の溝でカッターでカットします。
その後、縁に付いた糊を手ぬぐいで、ふき取ります。
最後に霧吹きで少しの量の水を、霧吹きで襖紙にかけ、完成を待ちます。
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ここで、石田社長が、自分で作ったヘラをご紹介します。
写真の上の段の右側に、一般的に売られている竹ヘラや、プラスチックのヘラがありますが、一番短いのが、石田社長が作ったヘラです。
自分が使い易いように、サイズなども考えて、またその先も色々な場面を想定して、作られています。
さすが、石田社長だと感服した次第です。
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この写真は、石田社長が自分で作った、ヘラを使った場面をご紹介いたします。
見ての通り、ヘラを使って、襖紙に入っている空気を出来るだけ外へ出すために、ヘラを器用に使っていきます。
自分が一番使い易い長さがあるので、其の点を考慮して、短く作られています。
私が感心するのは、自分に合った、機械や用具を探し出し、徹底して自分の物にしていく、姿勢なのです。 |
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完成した襖の貼り替え完了の、襖の前で、にっこり笑ってカメラに納まっていただきました。
今回の襖の貼り替えについては、お客様との打ち合わせの中で、極力、価格を抑えて欲しいとの要望から、あまり高価な材料は使えませんでした。
まだ完全に乾燥していませんので、多少しわが残っている状態ですが、乾燥すれば、ピーンと襖紙は張れてきて、大丈夫との事です。
また、手を抜くことなく、確実な製作に心掛けていますので、しっかりした、出来上がりになりそうです。
一旦作業が始まると、休むことなく、作業を進めますので、石田社長にとっては、大変ですが、少しでも良い成果をだすために、作業に邁進していきます。
石田社長、大変お疲れさまでした。 |
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