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本日の取材は、あぜち建築の疇地 (あぜち) さんから 『 今、新築を建てています 』 と ご連絡をいただき ここ疇地さんの地元である大阪府阪南市に伺いました。
いつも取材でいろいろな所にお邪魔するとき 事前に場所の確認をして行っても 本当にココなの?と不安を感じることがあるのですが
この日は約束の時間に少し早めに到着すると 『 人と家を大切に。 あぜち建築 』 という看板が見え 間違いなくここだとすぐに分かりました。
ちなみにこの看板は疇地さんのお友達の建築家さんが デザインしてくださったそうです。 |
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みなさんにとって 『 良い家 』 って何ですか?
見た目がキレイで設備の充実さ 斬新な作り・・・ 人によって捉え方は様々ですが 僕が疇地さんからお話を聴いて考えた良い家とは 『 (住んで) 安心する家 』 『 (家づくりを) 安心して任せられる家 』
今日はただ疇地さんが新築を建てているというレポートではなく 疇地さんがなぜ 『 気持ちを込められる大工さん 』 なのか? 一般の素人さんが気付かない、見えない部分のこだわりを教えていただき
読んだ皆さんにとって 『 良い家 』 を考える機会になって頂ければ幸いです。 |
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まずこちらは柱と柱の間に斜めに取り付けられたもう一つの柱です。
これは縦や横の揺れに対しての家を支える補強材となりますが 疇地さんが施工されたモノを見ると (左画像) 木と木の間には隙間が一切なく、キッチリと収まってることが分かります。
しかし、一般的な建売住宅では 現場の大工さんには 『 品質よりもスピード 』 が求められていて
ただ木が入っていればOK 中間検査もずさんで、簡単な目視だけで厳密なチェックをしない そんなことがまかり通っている世界なのです。 |
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では、なぜそこまでスピードが求められるのでしょうか?
工務店から依頼された大工さんには日当ではなく ひと現場いくらという風に報酬が支払われます。
例えばひと現場60万円だとすると・・・ 2カ月で完工すると月給30万円。 3ヶ月で20万円・・・ 時間がかかるほど報酬が低くなるというわけです。
しかし疇地さんは 早さを求めてしまうと、ちゃんとした仕事ができなくなる・・・と。
こちらの画像をご覧ください。 これは疇地さんが信頼する電気屋さんが配線されたモノですが 最短距離を通せばコストも手間もかかりません。
しかし、こちらの電気屋さんは後の作業のしやすさを考えて配線し コードもちゃんと束ねてしっかり纏められているのが分かり 依頼主様が今は二階でテレビを見る予定がないからと仰っても 後から配線できるような管を通しておくという配慮もされています。 |
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ただ木と木をつなげるだけでなく 柱の一部分を木の寸法にキッチリと合わせて削り接合する (左画像) ボルトを入れることで更に強度を高める (右画像)
疇地さんが仰るには昔はこれが当たり前だったそうです。
ただ、家の造りや仕様など様々なことが変わってきたことで 早さや安さ、手軽さをウリにした住宅メーカーが出てきて 現場にいる職人さんたちにかかる負担が大きくなっていき
その結果 『 質よりスピード 』 を求める・・・ 求めざるを得なくなっていき
キッチリと仕事をこなす 昔気質の職人さんにとって生きにくい時代になってしまったそうです。 |
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断熱材ひとつとってもそう。
できるだけ隙間なく断熱材を入れるというよりは 思いっきり力を込めて、むしろギュウギュウに入れていかないと 良いモノを使っていても効果がありません。
しかし、早さを求められている職人さんは 一週間かかるところを僅か2日で終わらせるそうです。
しかし、こちらの家では疇地さんが信頼する業者さんが ひとつひとつキッチリとされたそうで 柱の接合部分にできた隙間にもこうやって断熱材を入れて 少しでも断熱効果を高める仕事をされています (上画像) |
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そんな信じられないような現場を いくつも目の当たりにしてこられた疇地さん。
だからこそ、自分にご依頼くださったお客様には 直接会って目に見えない部分まで 納得されるまで説明することを心掛けられているそうです。
実際にこちらの新築は昨年12月ごろに地盤調査をし 基礎工事、床下には30数本の柱が入っているそうです。
しかし、早さをウリにする業者さんでは 基礎工事の段階ですでにお客さんの見えないことをいいことに コストを下げるための策略がされているのが現状です。
早く安く作った分、耐久性がなくなり 結果的に修理、修繕など後の費用が多くかかってしまいます。 |
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『 造り手の気持ちが残る家 』
実際にひとつの家を建てるのに 電気、ガス、水道、クロス、屋根、大工・・・と 20〜25ほどの職人 (業者) さんが関わります。
疇地さんが造る家には、疇地さんの想いに賛同、共感した 疇地さんが信頼する職人さんたちの 妥協しない姿勢から生まれた想いで成り立っています。
家はパッと考えて買えるようなモノではなく 自分たちがずっとずっとそこに住んでいくからこそ 現場にいる人間がその想いを持ち続けて仕事に取り組むこと そしてその想いを一人でも多くの人に知ってもらうこと そんな想いを持った大工さんが大阪府阪南市にいらっしゃいます。
こちらの新築は完成後にも取材させて頂けることになっていますので またそこで疇地さんの想いを伺いたいと思います。
取材撮影&文 : とくおか じゅん |
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