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京都市向日市に拠点を置き主に住宅基礎工事に携わっている「有限会社TEAM MUST LTD」森本さんの仕事を御紹介します。
今回訪れたのは滋賀県大津市八屋戸(JR湖西線蓬莱駅近く)のTEAM MUST LTD滋賀営業所「ますと庵」新築工事現場です。
基礎工事専門の会社なので、もちろん基礎工事の施工取材と思いきや、「ますと庵」玄関アプローチ壁の外構工事との事! どのような物なのか楽しみにやってまいりました。
写真上段、カーブしたコンクリート基礎の地面に配筋(鉄筋の配置)された、格子状の鉄筋の様子です。
これが最終的に玄関に続くコンクリートで固められたアプローチ壁になっていきます。
写真下段はコンクリート打設前の型枠仮組みの様子です。
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コンクリート型枠は構造物の大きさや形によって鋼製 ・ 木製等で使い分けられます。
生コンを流し込んでから固化するまで、それを保持しつつ型に形成するための、いわばコンクリートの為の鋳型になります。
玄関アプローチのカーブに合わせて造られた、特殊な形状であるこの型枠作りは作業配分を考慮して型枠メーカーに依頼しようか?と考えたそうです。
しかし構想をリアルタイムに反映させたい思いから森本さん自らが造られる事になったそうです。 (※実はこの意味を取材当初の私は理解していませんでした。)
壁面に浮き出る模様だけでなく打設時・打設後の解体、そして途中の形状変更にも対応しやすいように、使い勝手を想像しながらの型枠造りです。 |
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コンクリート表面を平らにする場合の型枠は、平板が表面になる型枠が用いられますが、森本さんは樹脂製の波板を表面に選びました。
コンクリートに凹凸模様を付ける目的の型枠は化粧型枠と呼ばれ、型枠メーカー製も多く出回っているようですが、それを外注した際のコスト負担は当然大きくなります。
そこでコスト削減も視野に手に入れやすい樹脂製波板を利用して、化粧型枠を自作する事にしました。
ただし樹脂製の波板はコンクリート打設時の圧力に対して強度が不十分が予測されるとの事で、角材を追加して型枠を補強していきます。
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左写真上段はセパレータの余分な部分を予めカットしている所です。
セパレータとはコンクリートを打設した際に重み(圧力)で型枠が開いて広がらないようにする補強材として使われ、型枠と型枠とを繋ぎ間隔を保ちます。
鉄筋を挟み込むように二枚の型枠を配置してから、長さが揃えられたセパレータを型枠にビスで留めて型枠を確実の設置固定されました。
型枠設置の良し悪しで、コンクリート製の大きな一枚壁の形が決まってしまうので、型枠と型枠との間隔は均一か?きちんと垂直が出ているか?をメジャーやレベルでチェックしながら作業が進められました。 |
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ひと通りの型枠設置作業が終了しました。
曲線を描いた独特の型枠形状にセパレータと角材で細かく補強された様子がわかります。
因みに壁に照明を据え付ける為の配線(分かり難いかも知れませんがオレンジ色のパイプそれです)も予め通してあります。 この配線、完成時にはコンクリート壁の中に埋め込まれてしまうので、スッキリした外観に仕上がります。
そして森本さんが手に持っているのはコンクリートを着色する為の色粉。
練りの段階で投入するそうですが、赤色を使うのは初めての事だそうで、これに限ってはどんな色合いになるのか? 生コンが完全に固化してからのお楽しみとの事でした!
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ここからコンクリート作りの様子です。
まずはセメント1に対して砂3の分量でよく混ぜあわせていきます。
まだ水を加える前の作業工程はカラ練りと呼ばれます。
真夏の屋外・・・とても天気の良い日だったので、かなりの重労働だと思いますが黙々と作業をされます。 ※因みに社員さんも来られているので交代しながらの作業です。念のため! |
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まんべんなくカラ練りができた段階で色粉を投入し、再びよく混ぜあわせます。
色粉を混ぜあわせてからの空練りの色を確認し、また更に色粉を加えて混ぜ合わす作業が何度か繰り返されます。
色合いが整った後、水を加えて再び練りの作業! セメントと砂と水がちゃんと混ぜ合わさったら(この段階でモルタルと呼ばれる)に、更に砕石が投入されて再び練りの作業が行われます。
これが練り終わってようやく生コンクリートができあがります!
森本さんは、セメント1:砂3:砕石3の割合で混合していましたが、用途(求められる強度)によって混合の割合は違ってくるそうです。
因みに強度はセメントと水との重量比と、骨材の粒の大きさと量によっても変化し、更に湿度も影響するそうです。
当然ながらプロはその辺を計算しながら生コンクリートを作っているんですね。
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いよいよ型枠へ生コンクリート打設に移ります。
狭い隙間への打設なのでスコップにすくって手作業で投入されていきます。
ある程度のかさまで生コンクリートが投入されると、次にバイブレーターで振動を加え無ければ行けません。
バイブレーター作業によって骨材密度が増し、それが締め固まる事で強度と耐久性に優れたコンクリートになるそうです。
ただし闇雲に振動を与えるのではなく、モルタルと骨材が均一性を保つように作業しなければいけないそうです。 ※振動を与えすぎると骨材が沈み過ぎて、逆にモルタルが浮いてしまい均質なコンクリートではなくなってしまいます。
型枠表面が透明の樹脂波板なので投入された生コンクリートの様子が分かりやすいですね。
因みにこの段階でバケット三杯分の生コンクリートが投入されていました。
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