東京都板橋区　　マンションの一室のフルリフォーム

ここでご紹介するのは埼玉県川口市の大工さん、「TWINS（ツインズ）」の人見裕一朗（ひとみ・ゆういちろう）さんです。

人見さんは昭和62（1987）年生まれ。
18歳のときに、大工だった父親が手伝いに入っていた工務店で仕事をはじめ、15年間の修行を経て2020年に独立したそうです。

勤めていた工務店は和室や茶室などをつくる専門性の高い職人集団だったそうで、そこで仕事を覚えたおかげで、人見さんは単にプレカットされた材を組み上げるのではなく、材を加工するいわゆる「刻み」もできるのだとか。
近年の若い大工さんのなかでは、稀有な存在といえます。

大工さんでましてや「職人」というと、「仕事はきっちりこなすが、無愛想」なんていうイメージをもたれる方が多いかもしれません。
しかし、人見さんは長い経験、そして高い技術をもつベテラン職人でありながら、人あたりのよさが一番の強み。

「実は人としゃべる営業の仕事がしたかったんです」。
さまざまなリフォームの相談や悩みに対して十分にヒアリングを行ない、お客さんに最適なプランを提案することを心がけていると言います。
とくにお客さんの今後の生活スタイルを想定してプランニングしているそうです。

リフォーム工事を依頼するとき、木工事は大工さんに、クロス貼りは内装屋さんに、キッチンやトイレは設備屋さんに……と、個別に発注をかける「分離発注」という方法があります。
こちらのほうが、間に入る業者がいないためにトータルの工事代金を抑えられるという考え方がありますが、デメリットもあります。

一番の問題は、施工に問題があったときに責任の所在をはっきりさせられないこと。
この問題を回避するには、責任をもって仕事をまとめる人が必要です。

人見さんのように、お客さんとの窓口になり、工事のスケジュールや個々の職人さんへの依頼など、工事全体をまとめてくれる大工さんがいると安心度が違います。

「仕上がりを重視して、ていねいに工事しています」と人見さん。

安さやスピードをウリにすると、どうしても作業が荒くなる。
だから、他社と安さ・速さで競うことはしないといいます。
これは自分の仕事に責任をもつ職人さんに共通する考え方だといえるでしょう。

依頼する側にとっても、「安さ・早さ」で業者や職人を比較しないことは大切。
もちろん事情によりけりですが、最適な工事を行なったほうが、長い目で見れば得であることが多いのです。

最後に、人見さんから送っていただいた写真で、工事完了の状態をご紹介。

集合住宅のオーナーさんからの依頼とあって、一戸建てで見られるような「こだわりのリフォーム」というわけではありませんが、人見さんと、人見さんが信頼する職人さんたちのていねいな仕事ぶりが写真からも分かります。

大工としての高い技術をもつことに加え、多くの腕利き職人をまとめあげることのできる人見さん。
「僕の名前の通り『人を見て』もらって、依頼してもらえると嬉しいです」と言います。

家のお悩み、まずは気軽に相談されてみてはいかがでしょうか？

＊取材・文＝加藤康一（Freewheel Inc.）