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香川県のほぼ中央に位置する綾川町。
豊かな自然と静けさに包まれたこの町に、ひっそりと佇むペンキ屋がある。
ナンブケンソウ株式会社の仁木雄介さん。
ペンキ職人歴20年以上のベテランでありながら、気さくであたたかい人柄の持ち主だ。
会社の周りには、四季折々の表情を見せる山々が広がり、澄んだ空気が心地よい。
一歩外に出ると、のどかな景色が広がり、思わず深呼吸したくなるような場所だ。
そんな自然の中で、黙々と、そして丁寧にペンキを塗る仁木さんの姿には、どこか美しさと静けさが共存していた。
香川県のほぼ中央に位置する綾川町。
豊かな自然と静けさに包まれたこの町に、ひっそりと佇むペンキ屋がある。
ナンブケンソウ株式会社の仁木雄介さん。
ペンキ職人歴20年以上のベテランでありながら、気さくであたたかい人柄の持ち主だ。
会社の周りには、四季折々の表情を見せる山々が広がり、澄んだ空気が心地よい。
一歩外に出ると、のどかな景色が広がり、思わず深呼吸したくなるような場所だ。
そんな自然の中で、黙々と、そして丁寧にペンキを塗る仁木さんの姿には、どこか美しさと静けさが共存していた。
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今の場所に会社を構えたのは5年前のこと。
田舎の魅力が詰まったロケーションと、十分な広さを兼ね備えたこの場所を、仁木さんはとても気に入っているようだった。
「ずっと探してたんですよ、この建物。やっと出会えたんです」
そう語る仁木さんの目は、どこか遠くを見つめるようで、穏やかな表情を浮かべていた。
自宅は高松市。
通勤距離はあるものの、それが負担になることはないという。
「景色を見ながらドライブしてるみたいなもんですよ」と笑う。
自然の中に身を置きながら、大好きな仕事に向き合うその時間こそが、仁木さんにとって何よりの贅沢なのかもしれない。
今の場所に会社を構えたのは5年前のこと。
田舎の魅力が詰まったロケーションと、十分な広さを兼ね備えたこの場所を、仁木さんはとても気に入っているようだった。
「ずっと探してたんですよ、この建物。やっと出会えたんです」
そう語る仁木さんの目は、どこか遠くを見つめるようで、穏やかな表情を浮かべていた。
自宅は高松市。
通勤距離はあるものの、それが負担になることはないという。
「景色を見ながらドライブしてるみたいなもんですよ」と笑う。
自然の中に身を置きながら、大好きな仕事に向き合うその時間こそが、仁木さんにとって何よりの贅沢なのかもしれない。
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今回、仁木さんが取り組んでいたのは、綾川町の会社の敷地内に新しく作った塀の塗装。
「まず最初に、塀を組む前に1回塗って、乾かしてから組み立てるんです。で、今日はその上から仕上げとして1回目の塗装をしてるんですよ」
そう言いながら、仁木さんは手際よく刷毛を動かす。
1回目に塗ったのは、木材を長持ちさせるための防腐剤。
「見た目をきれいにするだけじゃなくて、ちゃんと守ってあげるのも大事なんです」と、仁木さん。
木にしっかり染み込むことで、雨や湿気、紫外線から守り、塀の寿命をぐっと伸ばす役割があるという。
その上に塗装を施すことで、より丈夫で美しい仕上がりになる。
「1回塗りで終わるものもあるけど、やっぱり2回塗ると違いますね。色に深みが出るし、持ちも全然違うんですよ」
塗られたばかりの塀は、落ち着いた雰囲気になっている。
素材の質感がほどよく残り、自然に馴染んでいる。
「天気はね、いつも気にしてます。湿気があると乾くのが遅くなるし、仕上がりも変わってくるんで」
塗るタイミング、気温、湿度——その日のコンディションを見極めながら、最適な仕上がりへと導く。
経験を重ねるほど、そうした“塗りどき”を見抜く感覚が磨かれていくのだろう。
今回、仁木さんが取り組んでいたのは、綾川町の会社の敷地内に新しく作った塀の塗装。
「まず最初に、塀を組む前に1回塗って、乾かしてから組み立てるんです。で、今日はその上から仕上げとして1回目の塗装をしてるんですよ」
そう言いながら、仁木さんは手際よく刷毛を動かす。
1回目に塗ったのは、木材を長持ちさせるための防腐剤。
「見た目をきれいにするだけじゃなくて、ちゃんと守ってあげるのも大事なんです」と、仁木さん。
木にしっかり染み込むことで、雨や湿気、紫外線から守り、塀の寿命をぐっと伸ばす役割があるという。
その上に塗装を施すことで、より丈夫で美しい仕上がりになる。
「1回塗りで終わるものもあるけど、やっぱり2回塗ると違いますね。色に深みが出るし、持ちも全然違うんですよ」
塗られたばかりの塀は、落ち着いた雰囲気になっている。
素材の質感がほどよく残り、自然に馴染んでいる。
「天気はね、いつも気にしてます。湿気があると乾くのが遅くなるし、仕上がりも変わってくるんで」
塗るタイミング、気温、湿度——その日のコンディションを見極めながら、最適な仕上がりへと導く。
経験を重ねるほど、そうした“塗りどき”を見抜く感覚が磨かれていくのだろう。
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塗装に使う道具は、ペンキ缶と刷毛が2種類だけ。
「基本的にこれだけあれば十分ですね」と、仁木さんはおなじみのペンキ缶を手に取る。
長年使い込まれたその缶は、塗料が幾重にも重なり、独特の風合いを生み出していた。
「いつもこれを使ってるんです。ちょうどいいサイズなんですよね」
そう言いながら、缶のふちで余分な塗料を丁寧に落とし、刷毛をスッと滑らせる。
大小2種類の刷毛も、長年使い続けてきたお気に入りの道具だ。
「これ、もうかなり長いこと使ってますけど、手に馴染んでるんで使いやすいんです」
刷毛は毛の硬さや形によって、塗り方が変わる。
「広い面を塗るときは大きい刷毛、細かい部分は小さいのを使います。でも、刷毛はね、ただ塗るだけじゃないんですよ」
そう言うと、仁木さんは刷毛を軽く振り、毛先を整えながら塀に向かう。
余計な力を入れず、均一に塗料をのせていく。
その所作は、無駄がなく、驚くほどスピーディーだ。
「刷毛って、塗り方ひとつで仕上がりが全然変わるんです。だから、慣れた道具じゃないとやっぱり落ち着かないですね」
長年の経験と、手に馴染んだ道具があるからこそ生まれる、なめらかで美しい仕上がり。
仁木さんの塗装スタイルは、シンプルな道具と確かな技術の積み重ねによって支えられていた。
塗装に使う道具は、ペンキ缶と刷毛が2種類だけ。
「基本的にこれだけあれば十分ですね」と、仁木さんはおなじみのペンキ缶を手に取る。
長年使い込まれたその缶は、塗料が幾重にも重なり、独特の風合いを生み出していた。
「いつもこれを使ってるんです。ちょうどいいサイズなんですよね」
そう言いながら、缶のふちで余分な塗料を丁寧に落とし、刷毛をスッと滑らせる。
大小2種類の刷毛も、長年使い続けてきたお気に入りの道具だ。
「これ、もうかなり長いこと使ってますけど、手に馴染んでるんで使いやすいんです」
刷毛は毛の硬さや形によって、塗り方が変わる。
「広い面を塗るときは大きい刷毛、細かい部分は小さいのを使います。でも、刷毛はね、ただ塗るだけじゃないんですよ」
そう言うと、仁木さんは刷毛を軽く振り、毛先を整えながら塀に向かう。
余計な力を入れず、均一に塗料をのせていく。
その所作は、無駄がなく、驚くほどスピーディーだ。
「刷毛って、塗り方ひとつで仕上がりが全然変わるんです。だから、慣れた道具じゃないとやっぱり落ち着かないですね」
長年の経験と、手に馴染んだ道具があるからこそ生まれる、なめらかで美しい仕上がり。
仁木さんの塗装スタイルは、シンプルな道具と確かな技術の積み重ねによって支えられていた。
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仁木さんの動きには、一切の無駄がない。
塀に向かうと、迷いなく刷毛を滑らせる。
手首のわずかな角度や力加減を調整しながら、スーッと均一に塗料をのせていく。
その一連の動作が、とてもスムーズで美しい。
「素材や使う塗料によってどこから塗るのか、また、どうしてもムラになりやすものもある。だから、何度かに分けて薄く塗っていくのがコツですね」
刷毛の跡を残さず、塗料を均一に広げる——簡単そうに見えるが、熟練の技術が必要だ。
何気ない動きの中に、20年の経験が詰まっている。
黙々と塗り進める仁木さんの背中からは、職人ならではの集中力と自信が伝わってきた。
仁木さんの動きには、一切の無駄がない。
塀に向かうと、迷いなく刷毛を滑らせる。
手首のわずかな角度や力加減を調整しながら、スーッと均一に塗料をのせていく。
その一連の動作が、とてもスムーズで美しい。
「素材や使う塗料によってどこから塗るのか、また、どうしてもムラになりやすものもある。だから、何度かに分けて薄く塗っていくのがコツですね」
刷毛の跡を残さず、塗料を均一に広げる——簡単そうに見えるが、熟練の技術が必要だ。
何気ない動きの中に、20年の経験が詰まっている。
黙々と塗り進める仁木さんの背中からは、職人ならではの集中力と自信が伝わってきた。
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美しさのこだわり
「どうやったらきれいに仕上がるか」
作業中、仁木さんが何度も口にした言葉だ。
ただ塗るのではなく、素材や塗料の特性に合わせた塗り方を見極めることが大切だという。
塗る順番、力加減、重ねる回数——どれも仕上がりを左右する重要な要素だ。
「きれいに塗れてると、見ていて気持ちがいいんですよね」
美しい仕上がりは、見た目だけの問題ではない。
暮らしの中で、長くなじみ、自然と目に入るものだからこそ、細部までこだわる。
その積み重ねが、仁木さんの仕事を支えているのだと、改めて実感した。
美しさのこだわり
「どうやったらきれいに仕上がるか」
作業中、仁木さんが何度も口にした言葉だ。
ただ塗るのではなく、素材や塗料の特性に合わせた塗り方を見極めることが大切だという。
塗る順番、力加減、重ねる回数——どれも仕上がりを左右する重要な要素だ。
「きれいに塗れてると、見ていて気持ちがいいんですよね」
美しい仕上がりは、見た目だけの問題ではない。
暮らしの中で、長くなじみ、自然と目に入るものだからこそ、細部までこだわる。
その積み重ねが、仁木さんの仕事を支えているのだと、改めて実感した。
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「塗料って、どうやって選んでるんですか?」
そう尋ねると、仁木さんは少し考えてから答えた。
「経験ですね。あとは、素材や用途に合わせて、一番いいものを選ぶ感じです」
塗料にはさまざまな種類がある。
屋外か屋内か、木材か金属か——用途によって最適なものは違ってくる。
「いいものは、ずっといいんですよ。メーカーさんがしっかり研究して作ってるから、流行り廃りはあんまりないんです」
この日使っていた塗料について尋ねると、
「これ、すごいんですよ。実は無敵なんです」と、少し誇らしげに笑った。
仁木さんの仕事は、ただ塗るだけではなく、塗る前から始まっているのだと感じた。
「塗料って、どうやって選んでるんですか?」
そう尋ねると、仁木さんは少し考えてから答えた。
「経験ですね。あとは、素材や用途に合わせて、一番いいものを選ぶ感じです」
塗料にはさまざまな種類がある。
屋外か屋内か、木材か金属か——用途によって最適なものは違ってくる。
「いいものは、ずっといいんですよ。メーカーさんがしっかり研究して作ってるから、流行り廃りはあんまりないんです」
この日使っていた塗料について尋ねると、
「これ、すごいんですよ。実は無敵なんです」と、少し誇らしげに笑った。
仁木さんの仕事は、ただ塗るだけではなく、塗る前から始まっているのだと感じた。
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仁木さんが塗装の仕事を始めたのは20 年以上前。
「最初は右も左もわからなくて、大変でしたね」と笑う。
下積み時代の師匠は、とても厳しかったという。
「でも、そのおかげで、何が美しくて、どうすればいいのかを学べたと思います」
独立したのは10年前。5年前には法人化し、今の場所に会社を構えた。
「大変なことばっかりでしたよ」と苦笑しつつも、その表情には充実感がにじむ。
「やっぱり、この仕事が好きなんですよね」
20年の経験を積んだ今もなお、塗装の奥深さに魅了され続けている。
仁木さんが塗装の仕事を始めたのは20 年以上前。
「最初は右も左もわからなくて、大変でしたね」と笑う。
下積み時代の師匠は、とても厳しかったという。
「でも、そのおかげで、何が美しくて、どうすればいいのかを学べたと思います」
独立したのは10年前。5年前には法人化し、今の場所に会社を構えた。
「大変なことばっかりでしたよ」と苦笑しつつも、その表情には充実感がにじむ。
「やっぱり、この仕事が好きなんですよね」
20年の経験を積んだ今もなお、塗装の奥深さに魅了され続けている。
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「はけ塗りって、難しいんですよ」
仁木さんは、そう言いながら慎重に塗料をのせていく。
ローラー塗装が普及したことで、はけを使う職人は減っているという。
「はけは、塗った跡が残りやすいんです。でも、だからこそ、きれいに仕上げられると気持ちいいんですよね」
ムラなく、つなぎ目が目立たないように塗るには、経験と感覚が必要だ。
「はけ塗りが一番得意ですね。細かいところまで、しっかり調整できるんで」
その言葉の端々には、現場で積み上げてきた経験と、確かな技術に裏打ちされた自信がにじんでいた。
そんな仁木さんのトレードマークはデニムの作業着。
どこへ行くのも、この作業着を着ていくという。
「いろんな人がいる中で、同じ服を着てた方が覚えてもらえるし、分かりやすいでしょ。あとは、自分も気持ちを上げて仕事したいから」
作業着の下に着ていたT シャツも、仁木さんがデザインしたもの。
「1 年に1 回くらい作り直してます(笑)」
こだわりの道具を使い、気に入ったものを身につけて、仕事に向き合う。
その姿勢が、丁寧な仕上がりへとつながっているのだと感じた。
「はけ塗りって、難しいんですよ」
仁木さんは、そう言いながら慎重に塗料をのせていく。
ローラー塗装が普及したことで、はけを使う職人は減っているという。
「はけは、塗った跡が残りやすいんです。でも、だからこそ、きれいに仕上げられると気持ちいいんですよね」
ムラなく、つなぎ目が目立たないように塗るには、経験と感覚が必要だ。
「はけ塗りが一番得意ですね。細かいところまで、しっかり調整できるんで」
その言葉の端々には、現場で積み上げてきた経験と、確かな技術に裏打ちされた自信がにじんでいた。
そんな仁木さんのトレードマークはデニムの作業着。
どこへ行くのも、この作業着を着ていくという。
「いろんな人がいる中で、同じ服を着てた方が覚えてもらえるし、分かりやすいでしょ。あとは、自分も気持ちを上げて仕事したいから」
作業着の下に着ていたT シャツも、仁木さんがデザインしたもの。
「1 年に1 回くらい作り直してます(笑)」
こだわりの道具を使い、気に入ったものを身につけて、仕事に向き合う。
その姿勢が、丁寧な仕上がりへとつながっているのだと感じた。
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作業が終わると、仁木さんは静かに道具を片付け始めた。
ひとつひとつ丁寧に拭き取り、元の場所へ戻していく。
「最後まできれいにして終わるのが大事なんです」
それは、師匠に教わった教えでもある。
塗装の技術だけでなく、仕事の姿勢そのものが受け継がれているのだろう。
仁木さんは写真が苦手だという。
「怖そうに見えるって言われるんですよね」と苦笑いするが、実際は物腰が柔らかく、話し方もとても丁寧だ。
笑顔も素敵で、片付けの仕方まできれいで丁寧。
何より、仕事ぶりが誠実そのもの。
お客さんが安心して任せられる職人——仁木さんは、まさにそんな存在だった。
撮影・取材=星野尾カメラマン
作業が終わると、仁木さんは静かに道具を片付け始めた。
ひとつひとつ丁寧に拭き取り、元の場所へ戻していく。
「最後まできれいにして終わるのが大事なんです」
それは、師匠に教わった教えでもある。
塗装の技術だけでなく、仕事の姿勢そのものが受け継がれているのだろう。
仁木さんは写真が苦手だという。
「怖そうに見えるって言われるんですよね」と苦笑いするが、実際は物腰が柔らかく、話し方もとても丁寧だ。
笑顔も素敵で、片付けの仕方まできれいで丁寧。
何より、仕事ぶりが誠実そのもの。
お客さんが安心して任せられる職人——仁木さんは、まさにそんな存在だった。
撮影・取材=星野尾カメラマン