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京都市右京区の大工職人「たけなか工務店」竹中伸行さんのお仕事を御紹介いたします。 訪れたのは滋賀県大津市の閑静な住宅街。 その一角にある洋館風住宅で施工された住宅リフォームを取材いたしました。
既にリフォーム工事は終了しているので完成写真のみの施工例となりますが、施主様もご一緒くださり和やかで楽しい雰囲気での取材となりました。
今回はリフォーム完成後、数か月が経過しているので施主様から仕上がり満足度、住み心地等も含めてお聞きできたのも収穫です。
写真は施主様(奥様)の拘りが最大限に実現されたお部屋。 元々はシンプルな無地クロス壁のリビングダイニングキッチンの一角だったそうですが、今回のリフォームで新たに腰板張りを施し、壁クロス・天井クロス張り替えをして仕上げました。
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この部屋をリフォームするにあたり拘ったのは、奥様のアンティークコレクションとの調和です。
言葉にすると簡単ですが、ひとくくりにアンティークと云っても様々な様式があり、それが生まれた時代の流儀・流行等も考えながら長年かけて奥様が拘られた理想の空間作りですから、大工職人としては施主様の御要望を如何に具現化し完成させるか、腕の見せ所ではあります。 が、その分の苦労も多々あったと想像できます。
無地クロスが張られた壁には奥様自ら輸入購入された「ウイリアムモリス」意匠の壁紙張り替えがされました。 そして杉板の腰板は色味を考えながら塗装で最終仕上されています。 もしも壁紙or腰板のどちらか一方が違った仕上げだったら、この絶妙なバランスが崩れていたかも知れません。
この辺りは、奥様のセンスと大胆な発想・判断力に助けられました!と竹中さんは正直におっしゃいます。
※照明スイッチ類も色調・デザイン等を考え新たに交換されています。 |
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この洋間は、リフォーム前のリビングダイニングキッチンの広い空間に間仕切り壁を新設して造られた事も再度、特筆しなければなりません。
奥様にご説明いただいて初めてそれと知りましたが、それに気付けなかったのは間仕切り壁が完璧に仕上げられており、新たに増設されたキッチンに続く扉(ダイノックシート仕上げ)や扉枠(塗装仕上げ)の作りも違和感なく部屋に馴染んでいたからです。
まるで最初から壁があり扉があったように不自然さが何処にもない仕上がりに、壁紙張替えと腰板張りだけが施されたと勘違いしてしまいました。 ※奥様が立っておられる横の壁が新たに作られた部分です。 |
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キッチンは新しいオーダーシステムキッチン(パナソニック・オーダーキッチンLクラス)に入れ替えられました。
このキッチンリフォームも単にシステムキッチン入れ替えが行われただけでなく大掛かりな工事がされています。
先ずは平面サッシ窓から曲線デザインが可愛い出窓を設置。 このキッチン出窓交換工事も説明がなければ見逃してしまうところでした(汗)
壁にも新しいクロスが張られているのですが、例えば出窓の枠に回り込んで張られたクロスや、新しいキッチン棚と壁との合せ目の処理等、とにかく仕上げが絶妙に自然なので、取って付けた感がまるで無いのが流石だと思います。
クロス張替えのお仕事は「たけなか工務店」竹中さんが長くお付き合いされ信頼する、腕利きクロス職人さんが担当されたとの事です。 |
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もう少しキッチンを見ていきましょう。 やはりオーダーシステムキッチンとの事で収まりも完璧ですね。 リフォーム前の壁がないL型リビングダイニングキッチンからの大変身!前の面影が全くないキッチンリフォームの完成に、ここも奥様大満足の空間だそうです。
間仕切り壁と扉を増設すれば、全く異なったイメージの新しいお部屋空間が完成する好例のリフォームだと思いました。
もちろん施主様の御意向を最大限に形にする為には、職人さんの熟練技術が必要なのは言うまでもありませんが、さらに付け加えるべき大切な要素は「職人の柔軟な対応能力」ではないでしょうか?
これまで京都や滋賀県で数を把握できないほどに、新築は勿論、住宅リフォーム工事を手掛けたベテラン大工職人の竹中さんでも、おごらずに謙虚で新しいもの作りへのモチベーションを絶やさない姿勢があってこそで、それこそがプロ職人であり職人業の一つであると感じた次第です。 |
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さらに空間リフォームの好例としてご紹介したいアイデアは、隣部屋との間仕切り壁(片引き戸付き)を取り払って空間を広げた事です。 ※ちょうど竹中さんが立っているあたりに以前の片引き戸があったそうです。
元々26畳程のリビングダイニングキッチンを壁で仕切り、此処の空間に分割して作り直し、一方では室内間仕切り壁を撤去して、キッチンと隣の部屋を広い一つの空間にしてしまう発想も素晴らしい! さらに単純に空間を広げるだけの工事で終わらせず、壁の四隅を残して視覚で部屋を分割させていますし、枠に美しい曲線を施したのもお洒落なアイデアですね。。
そしてそのリクエストに答えた竹中さんもクロス張り職人さんも、やはり流石なのです。
リフォームは部分改修として「部分のイメージチェンジ」や「部屋増設」に重きを置くばかりに、空間のトータルデザインに妥協しがちなのは否めません(もちろん御予算・工期等の事情もあります)が、要所要所を抑えつつ大胆に住宅リフォームした家の完成度は極めて高い水準になるのを改めて感じました。 |
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次は廊下からトイレ・洗面の様子です。 今回、トイレ・洗面内も腰板張り施工をしたとの事で、わがままを言ってそれも撮影させていただきました。
トイレは既存のクロス仕上げ壁に新たに腰板を張って、他の部屋との統一性を持たせてあります。 それにしても広くて綺麗な空間ですね!
今回のリフォームでは、一階の全ての部屋と二階に続く階段に新しく腰板が張られた事になり、 それだけでも充分にイメージチェンジの効果が現れているのを実感されてると施主様はおっしゃいます。 「本当はオーク材が良かったけど」なんておっしゃる奥様ですが、杉板を好みの色に調節して塗装した事が、自然な風合いを生み出せた結果に繋がったのではないでしょうか? ※廊下とトイレ・階段の壁紙は既存の物のままだそうです。 |
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最後に玄関の様子も。 玄関ももちろん廊下に続く壁、そして階段にも腰板が施工され、徹底して拘った成果が伺えますね。 ※こちらの住宅は床が全て無垢の木でできたフローリング床なので、今回のリフォームでフローリング板の表面を極薄く削り、滑らかに整え直す工事もされています。 無垢フローリング床リフレッシュの方法として参考になりそうですね。
今回の取材で実感したのは、カタログ写真だけを眺めれば派手で個性的過ぎるデザインと敬遠しがちな物でも、しっかりした完成イメージがあればそれを上手くまとめる事ができると言う事でした。
奥様は実際に海外にも訪れながら、様々なアンティークに触れ、その文化にも深く接し、長年かけて夢の家造り、理想のリフォームのイメージを作り上げてきたそうです。 そして、それを実現するにあたり、ご友人から絶対的な信頼をおける職人さんとして紹介され御縁が繋がったのが今回の「たけなか工務店」竹中伸行さんでした。
今回の大胆なリフォームは施主様のイメージを形にする為の努力を惜しまない「たけなか工務店」竹中さんとのめぐり逢いなしには実現しなかったと大変喜ばれていました。
そして京都の大工職人・竹中さんは、既に大工職人歴20年以上の大ベテラン。 そんなベテラン大工職人さんにも関わらず「施主様が沢山のアイディアを御提案くださり色々な経験を積ませていただきました」と謙虚に言われます。
新しい経験ができるのは、それにチャレンジする姿勢があってのことですから、今後もスキルを磨き続ける仕事人なのだと感じました。
京都市右京区は勿論、滋賀県大津市でも住宅リフォーム全般(システムキッチン入れ替えリフォームや、お部屋のイメージチェンジ、廊下の腰板張り替え・階段の腰板張り替え)はベテラン大工職人「たけなか工務店」竹中伸行さんに御相談を。
取材撮影;末光誠 |
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