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神奈川県茅ヶ崎市のMさん宅。今回は、母屋の奥にある、築50年を超えた古い建物の軒天修理工事です。「軒天」とは、屋根が壁から出た部分の裏側のこと。写真を見ていただければ分かるように、かなり傷んでいます。ちなみに、屋根は山型になっている(妻がある)部分を「ケラバ」、雨樋が付いている部分を「軒」と言い、写真は軒になります。ケラバの状態は後半で紹介しましょう。
施工する大工は、神奈川県海老名市の北澤久之さん。大工歴40年以上のベテランです。作業に邪魔な隣家の木の枝を切らせてもらうところから作業がスタート。前回紹介した、外壁と雨戸・戸袋のリフォーム工事の様子も併せてご覧になってください。
神奈川県茅ヶ崎市のMさん宅。今回は、母屋の奥にある、築50年を超えた古い建物の軒天修理工事です。「軒天」とは、屋根が壁から出た部分の裏側のこと。写真を見ていただければ分かるように、かなり傷んでいます。ちなみに、屋根は山型になっている(妻がある)部分を「ケラバ」、雨樋が付いている部分を「軒」と言い、写真は軒になります。ケラバの状態は後半で紹介しましょう。
施工する大工は、神奈川県海老名市の北澤久之さん。大工歴40年以上のベテランです。作業に邪魔な隣家の木の枝を切らせてもらうところから作業がスタート。前回紹介した、外壁と雨戸・戸袋のリフォーム工事の様子も併せてご覧になってください。
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まずは軒の雨樋を外す作業。狭い塀と壁との間に、脚立を使って足場を組みます。足場を組む地面にはブルーシートを敷き、作業中にクギやネジなどを落としてしまっても、すぐに見つけて回収しやすいようにしてあります。
軽快な動きで高い位置の雨樋を外していく北澤さん。決して広いとは言えない作業スペースを有効に使うため、先ほど切った木の枝や取り外した雨樋などは綺麗に片付けます。さまざまな条件の現場での作業経験が豊富な、ベテラン大工さんらしい作業の流れですね。
まずは軒の雨樋を外す作業。狭い塀と壁との間に、脚立を使って足場を組みます。足場を組む地面にはブルーシートを敷き、作業中にクギやネジなどを落としてしまっても、すぐに見つけて回収しやすいようにしてあります。
軽快な動きで高い位置の雨樋を外していく北澤さん。決して広いとは言えない作業スペースを有効に使うため、先ほど切った木の枝や取り外した雨樋などは綺麗に片付けます。さまざまな条件の現場での作業経験が豊富な、ベテラン大工さんらしい作業の流れですね。
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既存の垂木は傷みがひどく、木口にコーススレッド(木ネジ)がしっかり打てません。そこで、既存の垂木に添えるかたちで、木材を横方向からコーススレッドで取り付け、そこに破風(化粧破風板)を止めることにしました。古い建物とあって各所に若干の歪みが出ており、取り付ける木材の長さはまちまち。北澤さんは1カ所ずつ長さを測り、木材をカットします。リフォーム工事特有の、手間のかかる作業ですが、卓上丸ノコや手ノコを駆使してスイスイと作業を進めていきます。
既存の垂木は傷みがひどく、木口にコーススレッド(木ネジ)がしっかり打てません。そこで、既存の垂木に添えるかたちで、木材を横方向からコーススレッドで取り付け、そこに破風(化粧破風板)を止めることにしました。古い建物とあって各所に若干の歪みが出ており、取り付ける木材の長さはまちまち。北澤さんは1カ所ずつ長さを測り、木材をカットします。リフォーム工事特有の、手間のかかる作業ですが、卓上丸ノコや手ノコを駆使してスイスイと作業を進めていきます。
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垂木がついたら、破風の取り付け。破風に使う材は、あらかじめ下塗りし、裏側に軒天井板をはめ込む溝が切ってあります。材を新設した垂木にコーススレッドで止めるだけの作業ですが、やはりここでも、建物に歪みがあるため、1カ所ずつ調整する必要があります。垂木と破風の間に薄い板材をはめるなどして、破風を極力まっすぐに取り付けます。
2枚をつなぎ合わせる部分は電動丸ノコで斜めにカットし、切断面をカンナで仕上げます。前回の記事でも紹介しましたが、北澤さんは手道具へのこだわりがあり、用途に合わせた複数のカンナを常に持参。正確な仕上げは、見た目の美しさだけではなく、材の耐久性にも関わってくるのです。
垂木がついたら、破風の取り付け。破風に使う材は、あらかじめ下塗りし、裏側に軒天井板をはめ込む溝が切ってあります。材を新設した垂木にコーススレッドで止めるだけの作業ですが、やはりここでも、建物に歪みがあるため、1カ所ずつ調整する必要があります。垂木と破風の間に薄い板材をはめるなどして、破風を極力まっすぐに取り付けます。
2枚をつなぎ合わせる部分は電動丸ノコで斜めにカットし、切断面をカンナで仕上げます。前回の記事でも紹介しましたが、北澤さんは手道具へのこだわりがあり、用途に合わせた複数のカンナを常に持参。正確な仕上げは、見た目の美しさだけではなく、材の耐久性にも関わってくるのです。
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つぎは軒天井板をはめ込む作業。厚さ4ミリのベニア板をカットして、破風の溝にはめ込み、新設の垂木に留めていきます。軒天井板には軽くて耐久性に優れたケイカル(ケイ酸カルシウム)板がよく使われますが、予算の都合でベニアになったとのこと。これもあらかじめ下塗りし、現場での塗装が1回で済むようにしてあります。
建物の歪みが最も影響するのは、この作業。破風側はまっすぐですが、壁側の凹凸が激しく、それに合わせて手ノコで軒天井板をカットし、調整する必要があります。多少の隙間はコーキングで塞げるとはいうものの、できるだけ隙間をなくすほうが仕上がりが綺麗になると、北澤さんは丁寧に作業していました。
つぎは軒天井板をはめ込む作業。厚さ4ミリのベニア板をカットして、破風の溝にはめ込み、新設の垂木に留めていきます。軒天井板には軽くて耐久性に優れたケイカル(ケイ酸カルシウム)板がよく使われますが、予算の都合でベニアになったとのこと。これもあらかじめ下塗りし、現場での塗装が1回で済むようにしてあります。
建物の歪みが最も影響するのは、この作業。破風側はまっすぐですが、壁側の凹凸が激しく、それに合わせて手ノコで軒天井板をカットし、調整する必要があります。多少の隙間はコーキングで塞げるとはいうものの、できるだけ隙間をなくすほうが仕上がりが綺麗になると、北澤さんは丁寧に作業していました。
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軒の作業がほぼ終了したところで、今度は玄関側ケラバの作業。高所での作業となりますが、北澤さんは手慣れたふうで足場を組んでいきます。必要な道具も足場の上に運び、作業の効率をよくしています。
棟木や母屋(もや)の間に、木材で枠を取り付け、そこに軒天井板を張るのが、ここでの作業の流れ。高所であることを除けば、特段、難しい作業ではありませんが、長年、風雨にさらされた棟木や母屋、壁の状態を確認しながらコーススレッドを打つ必要があります。寸法を測って手際よく木材をカットし、枠を取り付けていく北澤さん。半日ほどでこの作業が終了しました。
軒の作業がほぼ終了したところで、今度は玄関側ケラバの作業。高所での作業となりますが、北澤さんは手慣れたふうで足場を組んでいきます。必要な道具も足場の上に運び、作業の効率をよくしています。
棟木や母屋(もや)の間に、木材で枠を取り付け、そこに軒天井板を張るのが、ここでの作業の流れ。高所であることを除けば、特段、難しい作業ではありませんが、長年、風雨にさらされた棟木や母屋、壁の状態を確認しながらコーススレッドを打つ必要があります。寸法を測って手際よく木材をカットし、枠を取り付けていく北澤さん。半日ほどでこの作業が終了しました。
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新設した枠に軒天井板を張っていきます。使う材は軒部分と同様。やはり壁の歪みに合わせて丁寧にカットし、極力、隙間がなくなるように張っていく北澤さん。張り終わったら、見切り材を取り付け、軒天井板の小口が見えないように処理します。この作業をするだけで、仕上がりの美しさも、耐久性もアップするというわけです。
右下の写真はコーキングを済ませたケラバの状態。屋根の野地板が見えていた施工前と比較すれば、見違えるように綺麗になったことが分かるはずです。
新設した枠に軒天井板を張っていきます。使う材は軒部分と同様。やはり壁の歪みに合わせて丁寧にカットし、極力、隙間がなくなるように張っていく北澤さん。張り終わったら、見切り材を取り付け、軒天井板の小口が見えないように処理します。この作業をするだけで、仕上がりの美しさも、耐久性もアップするというわけです。
右下の写真はコーキングを済ませたケラバの状態。屋根の野地板が見えていた施工前と比較すれば、見違えるように綺麗になったことが分かるはずです。
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北澤さんの作業は続きます。右の一連の写真は、玄関前の軒の軒天工事。左は玄関と反対側のケラバです。前回紹介した、外壁や雨戸・戸袋工事を含め、時間も手間もかかる工事ですが、ベテランの北澤さんが苦にするものではありません。若い頃はひとりで1ヶ月以上かけて新築工事をしたこともあり、こうした経験が、長期にわたって気を抜かない、手を抜かない作業を続ける精神力や、現場での対応力の高さにつながっているのでしょう。また、予算に応じて工事内容や使用する材を考えてくれるのも、施主にとっては嬉しい限り。築50年以上の古い建物も、ベテラン大工の手にかかれば、低予算でも快適に過ごせる家に生まれ変わるんですね!
北澤さんの作業は続きます。右の一連の写真は、玄関前の軒の軒天工事。左は玄関と反対側のケラバです。前回紹介した、外壁や雨戸・戸袋工事を含め、時間も手間もかかる工事ですが、ベテランの北澤さんが苦にするものではありません。若い頃はひとりで1ヶ月以上かけて新築工事をしたこともあり、こうした経験が、長期にわたって気を抜かない、手を抜かない作業を続ける精神力や、現場での対応力の高さにつながっているのでしょう。また、予算に応じて工事内容や使用する材を考えてくれるのも、施主にとっては嬉しい限り。築50年以上の古い建物も、ベテラン大工の手にかかれば、低予算でも快適に過ごせる家に生まれ変わるんですね!