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「もっとこうしたら楽なのに」
という想いから、人は創意工夫を重ね発明し、便利で快適な生活が送れるようになりました。
職人の世界も同様に、工具の機械化、電動化が進み、体の負担も減り作業速度も大きく向上しました。
その一方で、昔ながらの大工道具の出番は減り、古い技術はこのままでは消えてしまうかもしれません。
「もっとこうしたら楽なのに」
という想いから、人は創意工夫を重ね発明し、便利で快適な生活が送れるようになりました。
職人の世界も同様に、工具の機械化、電動化が進み、体の負担も減り作業速度も大きく向上しました。
その一方で、昔ながらの大工道具の出番は減り、古い技術はこのままでは消えてしまうかもしれません。
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日本の大工の技術力の高さの象徴といえば、何度も大規模な修復工事は行われているものの、現存する世界最古の木造建築物として約1300年前に建てられた「奈良の法隆寺」ではないでしょうか。
では、なぜ法隆寺が今でも現存していられるかというのは、日本の木造建造物の柱や梁が継手(つぎて)・仕口(しぐち)で接合されているためです。
傷んだからといって全て壊さずとも部材を生かしたまま建物を解体し、修理することを可能にしています。
日本の木造建造物は最初に建てる時に、後の解体修理を想定してつくられていたということなのです。
木造建造物は劣化しやすい建築物ですが、形を大きく変えることなく長期にわたって使用することができます。
法隆寺がまさにその証です。
ではここで、聞きなれない継手(つぎて)と仕口(しぐち)について、簡単にご説明します。
釘やボルトを一切使わない木造建築では、二つの木を凸凹のように加工して、繋ぎ合わせたり柱を立てたりします。パズルや立体パズルのようなイメージです。
男の子のお子さんやお孫さんがいらっしゃる方は、電車の玩具プラレールのレールの繋ぎ目が継手。
仕口がレゴブロックと思っていただければイメージしやすいかと思います。
日本の大工の技術力の高さの象徴といえば、何度も大規模な修復工事は行われているものの、現存する世界最古の木造建築物として約1300年前に建てられた「奈良の法隆寺」ではないでしょうか。
では、なぜ法隆寺が今でも現存していられるかというのは、日本の木造建造物の柱や梁が継手(つぎて)・仕口(しぐち)で接合されているためです。
傷んだからといって全て壊さずとも部材を生かしたまま建物を解体し、修理することを可能にしています。
日本の木造建造物は最初に建てる時に、後の解体修理を想定してつくられていたということなのです。
木造建造物は劣化しやすい建築物ですが、形を大きく変えることなく長期にわたって使用することができます。
法隆寺がまさにその証です。
ではここで、聞きなれない継手(つぎて)と仕口(しぐち)について、簡単にご説明します。
釘やボルトを一切使わない木造建築では、二つの木を凸凹のように加工して、繋ぎ合わせたり柱を立てたりします。パズルや立体パズルのようなイメージです。
男の子のお子さんやお孫さんがいらっしゃる方は、電車の玩具プラレールのレールの繋ぎ目が継手。
仕口がレゴブロックと思っていただければイメージしやすいかと思います。
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場合によっては、凸凹のような簡単な加工ではなく、複雑な合わせ目を作り簡単に外れないように加工します。
現代では工場で予め加工されたものが現場に届くのですが、昔は現場でノコギリとノミだけで加工し、家を建てていました。
そして法隆寺をはじめ、全国の寺社仏閣や100年以上前の街並みが残っている全国の宿場町等の古民家の存在が大工さんたちの技術力を示しています。
今回、私のわがままで高星さんの取材の後ご自宅にお邪魔させていただき、継手と仕口の加工をするところを披露していただきました。
場合によっては、凸凹のような簡単な加工ではなく、複雑な合わせ目を作り簡単に外れないように加工します。
現代では工場で予め加工されたものが現場に届くのですが、昔は現場でノコギリとノミだけで加工し、家を建てていました。
そして法隆寺をはじめ、全国の寺社仏閣や100年以上前の街並みが残っている全国の宿場町等の古民家の存在が大工さんたちの技術力を示しています。
今回、私のわがままで高星さんの取材の後ご自宅にお邪魔させていただき、継手と仕口の加工をするところを披露していただきました。
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カメラマンである私の父も職人でした。
父親に鉛筆を持たされる前に金づちを持たされ板切れに釘を打ち、掛け算を覚える前にノコギリを持たされ、板切れを切って遊ぶ様な育て方をされたのですが、産まれるときに器用さを忘れてしまいました。
幼い頃に経験した、真っ直ぐ鋸で木を切る難しさや、釘を早く正確に打つ難しさを肌感覚で覚えているので、大人になり寺社仏閣、古民家を観るようになってから、昔の大工さんの凄さというのを身をもって感じました。
なので、いつかノミやノコギリ、カンナを使って何か仕上げる大工さんを撮りたいと思っておりました。
この日、私の念願が叶ったのでした。
カメラマンである私の父も職人でした。
父親に鉛筆を持たされる前に金づちを持たされ板切れに釘を打ち、掛け算を覚える前にノコギリを持たされ、板切れを切って遊ぶ様な育て方をされたのですが、産まれるときに器用さを忘れてしまいました。
幼い頃に経験した、真っ直ぐ鋸で木を切る難しさや、釘を早く正確に打つ難しさを肌感覚で覚えているので、大人になり寺社仏閣、古民家を観るようになってから、昔の大工さんの凄さというのを身をもって感じました。
なので、いつかノミやノコギリ、カンナを使って何か仕上げる大工さんを撮りたいと思っておりました。
この日、私の念願が叶ったのでした。
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年季の入った道具たちは、高星さんの手の形に「しっくり」と馴染むのだろうと思うくらい使い込まれています。
ただ、この道具たちも最近はあまり出番がないとの事です。
ノミの刃を触らせていただいたのですが、研ぎたての包丁のような鋭さがあり、いつでも直ぐに使える様に手入れも行き届いていました。
また、丸ノミも市販のものでは場合によっては径がキツく感じることもあるそうで、ご自身で加工されたノミもお持ちでした。
道具を大切に扱ってる高星さんの職人としての誇りを感じ、作業場の隅で眠り出番を待ち続ける古い道具達から、もっと使ってくれと声が聞こえてくる様に思えました。
年季の入った道具たちは、高星さんの手の形に「しっくり」と馴染むのだろうと思うくらい使い込まれています。
ただ、この道具たちも最近はあまり出番がないとの事です。
ノミの刃を触らせていただいたのですが、研ぎたての包丁のような鋭さがあり、いつでも直ぐに使える様に手入れも行き届いていました。
また、丸ノミも市販のものでは場合によっては径がキツく感じることもあるそうで、ご自身で加工されたノミもお持ちでした。
道具を大切に扱ってる高星さんの職人としての誇りを感じ、作業場の隅で眠り出番を待ち続ける古い道具達から、もっと使ってくれと声が聞こえてくる様に思えました。
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工場の隅にあった角材を作業台に乗せ、差金(さしがね)で目印をつけていきます。
最初のこの目印の付け方が斜めになったりしたら後々大きな手間がかかるので、正確に慎重にとゆっくりになりがちですが、何のためらいもなく引かれた線は、キレイに水平垂直です。
工場の隅にあった角材を作業台に乗せ、差金(さしがね)で目印をつけていきます。
最初のこの目印の付け方が斜めになったりしたら後々大きな手間がかかるので、正確に慎重にとゆっくりになりがちですが、何のためらいもなく引かれた線は、キレイに水平垂直です。
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次に、墨壺を使いラインを引いていきます。
今では見かける事のないくらい古い墨壺です。
墨壺は現代の現場でもよく使われるためコンパクトに形は変えましたが、使い方は変わりません。
次に、墨壺を使いラインを引いていきます。
今では見かける事のないくらい古い墨壺です。
墨壺は現代の現場でもよく使われるためコンパクトに形は変えましたが、使い方は変わりません。
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ちょっとした線のズレが最終的に大きなズレや歪みになると思うと、慎重にしようとゆっくりになるはずですが、一発で素早く正確に線を引いてしまうので撮影が難しいです。
職人さんの仕事の呼吸を乱したくない事。
そして、作った写真は出来るだけ撮りたくないため、作業してるフリの写真にしないために、私も高星さんの立ち回りに合わせて撮っていきます。
ちょっとした線のズレが最終的に大きなズレや歪みになると思うと、慎重にしようとゆっくりになるはずですが、一発で素早く正確に線を引いてしまうので撮影が難しいです。
職人さんの仕事の呼吸を乱したくない事。
そして、作った写真は出来るだけ撮りたくないため、作業してるフリの写真にしないために、私も高星さんの立ち回りに合わせて撮っていきます。
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次に「腰掛け蟻継ぎ」という継手の溝を作っていきます。
鉛筆でガイドラインをひいて、一度ドリルで穴を開けます。
高星さん曰く、1番最初の電動工具はドリルだったとの事で、ドリルの登場前は手回しのキリで穴を開けていたのでしょう。
次に「腰掛け蟻継ぎ」という継手の溝を作っていきます。
鉛筆でガイドラインをひいて、一度ドリルで穴を開けます。
高星さん曰く、1番最初の電動工具はドリルだったとの事で、ドリルの登場前は手回しのキリで穴を開けていたのでしょう。
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ここでノミと金づちを使い穴を掘っていきます。
一定のリズムでノミを叩く音が心地よく響きます。
ノミの刃が鋭いため、仕上げた切り口もとてもキレイです。
ここでノミと金づちを使い穴を掘っていきます。
一定のリズムでノミを叩く音が心地よく響きます。
ノミの刃が鋭いため、仕上げた切り口もとてもキレイです。
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高星さんが親方の元に弟子入りした時に、一番最初に覚えたのがこのノミの使い方です。
今では動きに一切の無駄がなく、手早く綺麗に仕上がるのも大工歴50年という積み重ねの賜物です。
高星さんが親方の元に弟子入りした時に、一番最初に覚えたのがこのノミの使い方です。
今では動きに一切の無駄がなく、手早く綺麗に仕上がるのも大工歴50年という積み重ねの賜物です。
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溝が仕上がると次に、継手の溝に差し込む上木を作っていきます。
この継手の部分は上から見ると台形になっており、こうする事で継ぎ目が引っ掛かり引っ張り側に力がかかっても抜けない様になります。
人生で一度もライン通りにノコギリで木を切れなかった私には、理解できない速さと正確さで木を落としていきます。
溝が仕上がると次に、継手の溝に差し込む上木を作っていきます。
この継手の部分は上から見ると台形になっており、こうする事で継ぎ目が引っ掛かり引っ張り側に力がかかっても抜けない様になります。
人生で一度もライン通りにノコギリで木を切れなかった私には、理解できない速さと正確さで木を落としていきます。
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今日は簡易的なデモンストレーションのため、丸鋸で短くカットします。
古い大工道具はそれはそれで好きなのですが、この丸鋸でカットしてる時の木屑の飛び散るところは電動工具でしか出せない躍動感と迫力なので、個人的な話ですが好きな撮影シーンです。
今日は簡易的なデモンストレーションのため、丸鋸で短くカットします。
古い大工道具はそれはそれで好きなのですが、この丸鋸でカットしてる時の木屑の飛び散るところは電動工具でしか出せない躍動感と迫力なので、個人的な話ですが好きな撮影シーンです。
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こうして、継手が繋がりました。
写真で見てわかる通り、髪の毛一本入る寸分の隙間もありません。
これを手作業でやってのけるのがどれだけ凄いことかというのが伝わるととても嬉しいです!
こうして、継手が繋がりました。
写真で見てわかる通り、髪の毛一本入る寸分の隙間もありません。
これを手作業でやってのけるのがどれだけ凄いことかというのが伝わるととても嬉しいです!
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続いて、ほぞ穴に差し込む「ほぞ」を作っていきます。
上記の作業同様に、ノコギリで大まかに形を作りノミで仕上げていきます。
続いて、ほぞ穴に差し込む「ほぞ」を作っていきます。
上記の作業同様に、ノコギリで大まかに形を作りノミで仕上げていきます。
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最後に金づちで打ち込み、完成です。
完成したものを触らせていただいたのですが、一切のガタつきがない事に驚きです。
目の前で作業を見ていたのに、人の手で作ったものなのか?と思うくらいです。
でも、これが当たり前だったのです。
今ではハウスメーカーは大きな工場があり、建築部材は全て加工されて現場に届きます。
なのでこの様な仕事は一般住宅の現場ではほぼ無くなり、今では宮大工さんや建具屋さんくらいではないでしょうか?
日本国内から寺社仏閣などの日本の伝統建築物が無くならない限り、これらの技術が消えることは無いでしょう
が、個人的には少し寂しくも思います。
最後に金づちで打ち込み、完成です。
完成したものを触らせていただいたのですが、一切のガタつきがない事に驚きです。
目の前で作業を見ていたのに、人の手で作ったものなのか?と思うくらいです。
でも、これが当たり前だったのです。
今ではハウスメーカーは大きな工場があり、建築部材は全て加工されて現場に届きます。
なのでこの様な仕事は一般住宅の現場ではほぼ無くなり、今では宮大工さんや建具屋さんくらいではないでしょうか?
日本国内から寺社仏閣などの日本の伝統建築物が無くならない限り、これらの技術が消えることは無いでしょう
が、個人的には少し寂しくも思います。
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寺社仏閣の話しがまた出たところで、高星さん、実はこの様なお堂も作る事ができるのです。
宮大工さんと同じ技術があるという事です。
寺社仏閣の話しがまた出たところで、高星さん、実はこの様なお堂も作る事ができるのです。
宮大工さんと同じ技術があるという事です。
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ご自宅も若い頃に一人で建てられたとの事でした。
プライベートな部分なので写真には収めてないのですが、とても立派なお宅でした。
神棚を拝見させてもらうためにに案内していただいた和室は、特に力が入っておりました。
ご自宅も若い頃に一人で建てられたとの事でした。
プライベートな部分なので写真には収めてないのですが、とても立派なお宅でした。
神棚を拝見させてもらうためにに案内していただいた和室は、特に力が入っておりました。
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どこを撮っても高級旅館か、格式高い茶室のような、華美ではない和室ならではの美しさのあるお部屋なのですがプライバシーに配慮しつつ、いまではなかなかお目にかかるのは貴重な柱を撮影させていただきました。
この様に節などの木目のない、正目で取った柱は、大きく太い木を切り出して削って作らなければできないので非常に手間がかかりまして、木材の高騰や木や自然環境を守るという観点では、現代ではなかなか見かける事はありません。
どこを撮っても高級旅館か、格式高い茶室のような、華美ではない和室ならではの美しさのあるお部屋なのですがプライバシーに配慮しつつ、いまではなかなかお目にかかるのは貴重な柱を撮影させていただきました。
この様に節などの木目のない、正目で取った柱は、大きく太い木を切り出して削って作らなければできないので非常に手間がかかりまして、木材の高騰や木や自然環境を守るという観点では、現代ではなかなか見かける事はありません。
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お話を伺っていて、高星さんがポツリと言った「畳の部屋じゃなくて、和室の仕事がしたいなぁ」という言葉がとても印象に残りました。
和室の需要が減り、今では和室の様な部屋に畳みを敷いた、和室っぽい部屋ばかりなので、高星さんの様な腕のある大工さん達は技を存分に発揮出来ないでいるのです。
本格的な和室を検討されている方、是非高星さんにご相談ください。
リフォームや増改築、家の小さな修繕も対応してくださいます。
百聞は一見にしかずです。
私の並べた百の言葉よりきっと、仕事を見てもらった方が「ええ職人」ということが伝わります。
茨城県常陸太田市・常陸大宮市・日立市・高萩市・那珂市他、県北・県央で腕のいい大工さんをお探しでしたら、高星建築までご連絡を。
撮影・記事=夏井カメラマン
お話を伺っていて、高星さんがポツリと言った「畳の部屋じゃなくて、和室の仕事がしたいなぁ」という言葉がとても印象に残りました。
和室の需要が減り、今では和室の様な部屋に畳みを敷いた、和室っぽい部屋ばかりなので、高星さんの様な腕のある大工さん達は技を存分に発揮出来ないでいるのです。
本格的な和室を検討されている方、是非高星さんにご相談ください。
リフォームや増改築、家の小さな修繕も対応してくださいます。
百聞は一見にしかずです。
私の並べた百の言葉よりきっと、仕事を見てもらった方が「ええ職人」ということが伝わります。
茨城県常陸太田市・常陸大宮市・日立市・高萩市・那珂市他、県北・県央で腕のいい大工さんをお探しでしたら、高星建築までご連絡を。
撮影・記事=夏井カメラマン