経験と技術、そして引き出しの多さがモノをいうリフォーム工事

取材を通してどの大工さんに話を聴いても、今の家造りは昔と大きく変わったと
腕のある職人さんであればあるほどそう感じるそうです。

それはなぜか？

当サイトでもこれまで何度も言ってきたことですが
事前に工場の機械で木材加工するプレカットの登場によって現場での作業量が減ったことによる
家造りそのものが簡略化したことが大きく影響しているからです。

昔は墨付け、刻みと、大工さんの手によって木材を１つ１つ加工して柱や梁を作り
一人前になるまでには数多くの現場を通して技術と経験も積み重ねなくてはならなかったため
そういった過程で育ってきたホンマもんの大工さんが当たり前のようにいました。

しかし今は、プレカット主体のハウスメーカーの新築が増えたことにより
大工とは到底呼べない未熟な職人さんでも仕事ができてしまう機会が増えたことで
逆に熟練の大工さんがその腕を発揮する場（必要性）が減り

今後、更にその傾向は強くなっていくだろうということで
『 今の新築は家を積み木のように組み立ててる感じで、達成感がまるでない 』 とも仰ってます。

基礎の基礎から学んだ職人さんであるからこそ分かる今の家造りを象徴する言葉であり
そういった人たちは大工工事が単なる仕事ではなく
好きと言う想いがあったからこそ辛い修業を乗り越え、今もこうやって続けられているのです。

・・・

でも、技術と経験が絶対的に必要な現場があります。
それがリフォーム工事です。

新築のように何もないところに１から家を建てるのではなく
今ある家を解体して骨組みだけ残し間取りを造り変えたり、一部分を改装するのがリフォームです。

そして、リフォーム工事では
家の構造や仕組み、耐久性など、家に関するありとあらゆることを熟知していないとできるモノではなく
未熟な職人がやってしまっては手抜き工事となって家とお客さんに重大に被害をもたらします。

この柱はこのままに
この柱は抜いても大丈夫
弱っているから補強しよう

こういった判断ができるかできないかがリフォーム工事の完成度と安全性に大きく関わってきます。

リフォームで難しいのがまず解体。

現場調査をして見積書を書くのが流れのため
床などであれば一度めくってみないとどんな構造、張り付け方がされているか分からないので
職人さんも実際に解体してみると、予想以上に手間や時間がかかることがあるそうですが
そんな時こそ経験と知識によって対応できるのです。

ハウスメーカーの新築ばかりしている大工さんではあるままの材料だけで作業するので
決められたレールの上を走っているだけでは技術も経験値も上がるはずがなく
中にはノミやカンナを扱うことすらできない人もいて
簡単な大工工事はできても規模が大きくなればなるほどリフォーム工事なんてできる訳がありません。

新築でも注文住宅となればそうですが
リフォームになると更に、職人さんの力の差が顕著に出てくるのです。