電気屋　嶋田光浩の施工例

今回の取材先は、大阪市中央区難波にあります
『麺乃國難波千日前店』です。

この日は
兵庫県尼崎を拠点に、関西一円で活動されている
嶋田電機の嶋田さんによる厨房区画の防水工事です。

なぜ電気屋さんが？と不思議に思われた方
実は嶋田さんは店舗内装と関連した
電気屋としての技術や経験を活かした工事もされています。

ホームページはこちら
https://store-interior-kousya.com/

僕自身、嶋田さんとはこれで２度目の取材ですが会うのは３回目。

こうやって何度も伺えると
スムーズに事が進んでとても取材しやすく
尚且つ、嶋田さんの人当たりの良さが更に安心感を高めてくれます。

現場に到着してご挨拶。
今日の段取りを嶋田さんに確認し早速作業開始です。

嶋田さんの他にも職人仲間の方がお二人いらっしゃいまして
まずは防水塗料を施すために
厨房の作業台などを皆で力を合わせて移動させます。

こちらの店舗は元々
以前あったお店のあとにそのまま受け継がれたということで
厨房の防水・水漏れ工事をされていなかったそうです。

その結果、年数が経つにつれ
厨房の水がカウンターの隙間から店舗内に染み出してきました。

このまま放っておくと
水がどんどん店舗内に水が溜まって
ハエなどの虫が湧いたり、臭いの原因にもなりますので
飲食店では致命傷となります。

嶋田さんによると
このような防水工事は約３日間の工程で行うそうで
今日がその３日目にあたります。

厨房の半分はすでに防水工事が完了していて
この日が残りの部分の施工となりました。

その間、お店の営業ができないのでは？と
不安になるでしょうがご心配なく。

お店の定休日を利用しての作業になることと
防水塗料も一日置けば乾くので
こちらの店舗も翌日にはいつも通り営業されるそうです。

厨房の作業台を移動して高圧洗浄機でゴミや油を落とし
そのあと、塗料が塗りやすいようにバーナーを使って
しっかりと乾燥させます。

バーナーでしっかりと乾燥させた後
塗料の密着率を高める為
グラインダーを使って油汚れや表面の凹凸を削っていきます。

みなさんここまでの工程が当たり前だと思っていませんか？

世にはたくさんの内装業者さんが存在しますが
高圧洗浄機や削り作業はおろか掃除もろくにせず
いきなり防水塗料を塗るだけという業者もいます。

店舗開店の初期費用を少しでも抑えたいがために
こういった防水工事をおろそかにしてしまい
しかも、そんな業者に頼んでしまうと
ずさんな施工な上、高額な費用を請求されてしまうこともあります。

嶋田さんはそんな一般の方には不透明な部分も
しっかりとお客様に説明した上で
良心的で妥当な予算で施工をし

お互いが納得できるよう努めることで
信頼できる業者さんを目指しておられます。

この日もカウンター側の洗い場にステンレスの板を入れ
水が少しでも店舗内に浸透するのを防いだり
老朽化による蛇口の緩みを見つけると新しいモノと交換。

ネズミの侵入口やガス管、排管、などをチェックしては
少しでも防水効果を高める為の何気ない心遣いが
完成してしまっては見えない部分として浮かび上がってきます。

・・・

ここで一旦、ランチタイムということで
嶋田さんに近くのカレー屋さんでご馳走していただきました。

正直、僕的にはかなり辛いカレーだったのですが（笑）
嶋田さんは平気で美味しいと食べておられました。

ただ嶋田さんも辛いモノが得意ではなかったそうですが
東南アジアへ行ったときにそこで毎日のように
スパイスの効いたモノを食べている内に慣れていったと。

ステンレスの補強が終わり次にプライマーを塗ります。

いわゆる下地剤となり
厨房床と防水塗料の密着性を高める役割になりますので
壁面との隙間から水漏れがないよう
特にこの部分は入念にされていました。

プライマーが塗り終わると
ひび割れ部分やステンレスの板で補強した部分に
シーリングを充填し
ようやく防水塗料を塗っていきます。

プライマーと同じくまずは壁面の隙間から塗っていき
そして全体にまんべんなく施していきます。

これで終わりかと思いきや、乾かして二度塗りされました。
現場の状況によっては三度塗りされることもあるそうで
塗料が厚く塗られた分、防水性も高まります。

今回は緑色の防水塗料を使いましたが
他にも種類はたくさんあり
場所によって雰囲気に合うモノを選べます。

嶋田さんは元調理師さんのため
飲食店で働いた経験から
厨房や店舗内の至る所に目が行き届き
ちょっとした変化にも気付き対応できる力が備わっておられ

決して見た目だけに捉われず
お客様が気付かれないような所にでも
一切手を抜かないで臨む、職人としての姿がありました。

取材撮影＆文：とくおかじゅん