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大阪府泉佐野市の建築大工を営む総合建築「高伸建設」の高畠伸悟さんのお仕事を紹介いたします。
訪れたのは泉佐野市日根野の高畠さんの御自宅で、新築工事中の現場となります。 広い敷地に建つ此方の大きな家は、相当に拘りのある家となっていますので完成お披露目の後、私どもも追加取材をさせていただく事になっています。 御自宅の工事も家具等の製作も、仕事の空き時間を利用してコツコツと作業を進め、ようやく此処まで漕ぎつけたとの事で完成が楽しみですね。
御自宅の新築に合わせて隣に建てられた作業場に伺うと、作業台の上には大きな天板が! 今回の取材は御自宅の新築に合わせて、高畠さん御自身が製作中のダイニングテーブル製作過程となります。
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こちらの重厚な佇まいの天板は自ら仕入れたウォールナット無垢材を使用!
もともと2200ミリ長の無垢材を作業場で切り出し加工した後、家具用の接着剤で3枚を繋ぎ合わせています。
更に天板裏に刻みを施してボルトナットを仕込み、1860ミリ長×900ミリ幅×50ミリ厚の大きな無垢ウォールナット天板に仕上げました。
短く薄く細い板を何枚も何層も張り合わせたテーブル天板ではなく、3枚の無垢板を横に繋いだ無垢材天板であるのが贅沢ですね。
高畠さん御自身は、家具専門職人さんには敵わない大工家具と云われますが、此れだけの精度があるなら十分過ぎる出来栄えだと御世辞抜きで思います。 |
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高畠さんが手にしているのが、今回の無垢テーブル天板に使用したウォールナットの原板。 仕入れた時のそのままなので表面がザラザラしていますが、製材を行なうと艶が出て、美しい杢目も浮かび上がって来ます。
製材も高畠さん自らが作業場にあるカンナ掛け機で行い、均一性のあるまっ平らな板が出来上がりました。
幅方向に板を繋いで寸法出しするのを「はぎ(接ぎ)」と呼び、これは3枚の板を接いでるので、3枚はぎテーブル天板と表現するそうです。
今回製作のダイニングテーブルでは無垢材の風合いを残すために、板の両端になる小口は加工せずに木の樹皮部分の形を残してあるのもポイント。 |
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そしてダイニングテーブルの脚製作で使われる木材は国産ケヤキ。 こちらも稀少性が高く高価な部類の木材です。
見た目で想像するよりもドッシリとして重く、爪で弾くとカンカンとかん高い音が響き、如何にも中身が詰まってそうな木材でした。 大きく重い無垢天板の重量を支えるには、こういった木材が必要だとの事でした。
先ずは脚になる木に寸法出しをしますが、反りが無いかを確認後、水平垂直を出すために、ほんの1ミリ程度・・・丸ノコの刃の厚み程度を削り取りました。
高畠さんが削った断面に現れた艶を見ながら、木や大工職人の魅力を説明してくださいます。 まだ見習い大工職人だった頃、当時の親方のもとで延々と木材刻み加工ばかりを行ったのだそうです。 当時は地味な仕事と思いつつも淡々とこなした日々でしたが、それが知らぬ間に基本をしっかり身に付ける事、云わば「手に職を持つ」事に繋がっていたのだと云い、当時の親方への感謝も忘れません。
そして親方として独り立ちしても、基本を大切に、感謝の念を忘れずに精進しているのが「高伸建設」高畠さんでありました。 |
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いよいよ作業台で仕口刻みが始まります。 ※蟻継ぎと云う技法で木を組み付けて繋ぐと云うことで、前半に刻み加工する脚が雄木になり、次に溝を掘る貫が雌木となります。
先ずは脚と貫それぞれに金尺を用いて、一本一本を正確に寸法だししながら墨付けをしていきます。 ここでの作業を間違うと仕口刻みもくるったまま加工されてしまうので、慎重におこなっていきます。 材料のケヤキが比較的高価な木材なので「失敗=コストが心配」にと思ったのが僕ですが、高畠さんは「失敗=木が勿体無い」と考えていました!
質が良く貴重な太い木材を自分のミスで無駄にしたくないと、あくまでも木に対する思いやりを忘れません。 そして硬い木材として知られるケヤキですが、手刻みで仕口加工を行なうとの事!
材料にも拘っていますが製作過程にも高畠さんの拘わりが伺えますね。
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墨付けが終わりいよいよ刻みへ移行します。
脚の先端部分に施されたケガキ線に沿って鋸が入れられます。 刃を入れて直ぐに「流石にケヤキの木は硬いわ〜♪」と嬉しそうな高畠さん。
力仕事で本来は疲れる作業な筈ですが、手に伝わる感触を愉しみながら鋸を引く高畠さんの姿を見ていて、まさに大工職人が天職な方であるのを感じました。
ケガキ線に合わせて切り落とされた脚に仕口が現れました。 まだ大まかに形を出しただけの段階で、この後に仕上げ作業が行われます。 |
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次は微調整のノミ入れ。 ケガキに沿って鋸をひいてますが、手作業で生じる僅かな誤差をノミで修正していく工程になります。
高畠さんの大工道具はとても手入れが行き届いており、ノミもその例外ではありません! 刃の長さがまちまちなのは、頻繁に使われているノミはそれだけ減りが目立っているから。 「好い道具は早くなくなる」と云うのが分かりやすいですね。
そして写真のノミは極一部ですが一本一本のノミ砥ぎから御自身でされるので、砥石も結構な数になってしまったそうです。 その砥石も専用の棚を造り、整理整頓されています。
ノミで削られる部分の厚みは、紙のような薄さで徐々に形が整えられていきます。 ケガキ線に合わせた正確な面を出すために面が整った木材を当てながら、凸凹がないか?線が曲ってないか?を見極めながら仕上げがされていきました。 |
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次は貫への刻み加工。 柔らかい材木なら完全手作業で対応出来ますが、貫も硬質なケヤキを使うので丸ノコを用いて粗加工を施します。
因みに「手刻み」とは大工自身が手道具や手刻み機械を用いて、材料に刻み加工を施す事を云います。 職人の経験と技術によってその仕上がりに差がでてしまいますが、木の性質に合わせた細かな気配りをしながら刻み加工を行う事ができます。
見習いの職人時代から手刻み加工を行い、木それぞれの性質を学んできた高畠さんだからこその作業ではないでしょうか? |
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粗加工のノコ入れが終わり、いよいよ手道具を用いた刻みへ。
ケヤキの角材に乗り自らがオモリとなってケヤキ角材を固定しながらのノミ入れ。 粗加工によってノミ入れがしやすくなっているとは云え、削られたケヤキがパチパチと音を立てながら飛び散る様子を見れば材が硬いのが分かります。
「全て手道具でこれをしてきた電動工具が無かった時代の職人さん達は凄いやんね〜!!」と、先人の職人さん達に敬意を表しながらの作業。
18年の大工職人歴は既にベテランと云えますが、それでも初心を忘れない、先輩を敬う、謙虚で実直な高畠さんは単に職人としてだけでなく、一人の人間としての魅力を兼ね備えています。 |
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今回のダイニングテーブル製作にあたって、一番手が掛かるのは脚の製作だと云います。
極力金物を使わないで脚を製作する為、脚となる木材を組む手法には「蟻組み手」の技法を用いました。 蟻組み手とは組み合わせるお互いの角材の両方に、蟻状形(台形)の溝加工を施し組み合わせて繋ぐ方法です。
長方形の形状に掘られたくぼみを台形に整えていきます。
此処からは削っては確認、削っては確認の作業が繰り返されていました。 当然ですが形状が違ったり、大きすぎても小さすぎても上手く組み合わせられないので、それぞれの加工精度も求められる手法になり、コストが掛かる分、主に高級な家具に施されるのだそうです。 |
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蟻組の仕口加工がある程度形になった段階で、実際に組み付けて確認します。 此処からはコンマ数ミリの微調整の世界です!
作業の様子を見ていても私からは何処に不具合があるのかは分かりませんが、組み付けを繰り返しながら手に伝わる感触、力の入り具合で不具合を探っているのだそう! このレベルまでいくと、きっと「不具合」ではなく「仕上がりとして気になる部分」と云う職人の拘りなのだと思いますが、ノミやカンナを用いて部分修正を施していきます。
以上の工程を経て蟻組み技法で製作されたダイニングテーブルの脚が一脚!出来上がりました。 あと三本の脚を仕口加工しなければなりませんが、この日の脚製作はここで一旦終了。
次回取材までのダイニングテーブル製作完成も約束いただきこの日の取材も終了いたしました。 |
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自らの手仕事で家具も作ってみたいと若い頃に漠然と描いた想いを、今回の御自宅新築に合わせて実現されました。 自らがテーブル製作をすることで、同じく自ら建てた自宅とのコンセプト統一も図られているのです。
材料に拘ったオンリーワンの家具を自分で造りたい!と云う熱意が家具製作の原動力ですが、実はリフォーム際にお客さんに製作依頼を受けた経験もあるのだそう。
お客さんに御提供するには自分が納得できる物が作れてからにしたかった思いから、以前にいただいたお客様からの御依頼は残念ながら形に出来なかったのですが、今回の経験で「お客様に提供できる物」になる手応えを感じていると云われます。
この大きさ&厚みの無垢のウォールナットは材料の仕入れも高価ですし、それを使っての家具製作は高価になっていくのは当たり前で、実際に家具屋さんで購入となれば数十万の物になってしまうと思われますが、お客様と十分に相談したうえでダイニングテーブル等の製作を承るとの事です。
東大阪、泉佐野や和歌山等で新築やリフォームだけでなく、ダイニングテーブル製作でも御相談いただけますので、是非とも「総合建築 高伸建設」御連絡お待ちしております。
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※ 追記
後日、お家の完成取材でお邪魔した時 テーブルも見せていただきました。 |
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フローリングの色合いともマッチしていて もうすっかり家の一部になっていました。 |
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普段何気なく見ている家具も こうやって職人さんの手一つ一つで作られている姿が見えると 使う側の安心感や信頼感などの気持ちも大きく変わってきますね。
木の種類はたくさんありますが 高畠さんに直接相談すれば ご予算に応じて対応していただけますし
とても話しやすい気さくな職人さんですので 泉佐野市を中心に、大阪府南部(南大阪・泉州地域)及び 和歌山県北部などの方で何かありましたら、まずはお気軽にどうぞ ♪
追記分、取材撮影&文 : とくおか じゅん |
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