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本日は、京都市上京区の賃貸アパートで行われた「インテリア浩(こう)」の九鬼さんによる、ウッドタイルの施工を御紹介させて戴きます。
前日に九鬼さん自らクロス貼り工事を終えての二日目がウッドタイルの工事となります。
広さ12畳程の大きな部屋の床にフローリング調のウッドタイル(明るい色の物)が敷かれていますが、これは「仮置き」で、この部屋では壁や窓の木枠の凹凸に合わせて、予め切削加工しなければならないのと、大まかなイメージを掴む為もあります。
幅10センチ・長さ91センチの、細長い床材を一枚一枚並べての仮置きは面倒な作業ですが、やるとやらないでは仕上がりの綺麗さが断然に違うとの事で、九鬼さんはその労力を惜しみません。
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「仮置き」したウッドタイルを一旦外し、床の掃き掃除をされた後、床の半分の面積分にだけ専用の下地ノリ接着剤を塗布して行きます。
半分だけなのは接着剤の乾燥時間とウッドタイル施工の作業手順が考慮されています。
元の床はナチュラルウッドのいわゆるフローリングですが、接着剤が元床の表面でダマにならないように、専用のヘラで平面を保ちながら均一に丁寧に伸ばされ塗布されて行きます。
ウッドタイルは柔らかいビニル素材の床材なので、ダマ等が残れば接着剤の厚みが凹凸となって、施工後の部屋の床が波打ってしまう事もありますし、逆に薄く伸ばし過ぎると乾燥が早く進んでしまい貼り付けに支障をきたします。
「ならば乾いた部分は二度塗れば良いだろう」と思いがちですが、その僅かな塗りの厚み箇所に対して、貼りつけたウッドタイルの浮きや盛り上がりなどを発生させてしまい、仕上がりに大きく影響するとの事です。
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接着剤の塗布を終えるとウッドタイルを一枚一枚並べて貼る作業に入ります。 ⇒貼り付けにはジョイントローラーと謂う、それ自体に重量のあるコロで、ウッドタイルを床に押し付けながら圧着していくのですが、力の必要な大変な作業です。
この部屋の場合は窓側と、その向かいの押し入れ側でウッドタイルを切削加工する必要があるので、手間の掛からない部屋の真ん中から窓側へ(手前から奥へ)向かって行われます。
真ん中の床には「仮置き」で基準線が罫書かれており、先ずはソレに合わせてしっかりと固定していきます。
此処がズレると貼りの最後の段階で(窓方向・押入れ方向の最後の貼り)ウッドタイルの幅が合わなくなるので慎重に貼られて行きます。 |
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貼りの作業が随分と進んでいるにも関わらず、床の壁際にはウッドタイルが置かれていない部分があります。
この部分はウッドタイルを切削し長さ調節してから施工しなければいけない部分です。
例えば、パズルのピースをこしらえてハメ込む感じですね!
木目調のフローリングを模したウッドタイルで、更に一枚一枚を貼り付けて施工するタイプの床材なので、本物の木材フローリングの雰囲気に近づける為にも、職人さんの美的センスが必要です。
17年もこの仕事に携わってきた経験を持ち、仕上がりの美しさに拘る九鬼さんは、常にその辺りも計算されながら作業をしています。
「仮置き」で作業全体を把握されてからの作業も、その事の表れではないでしょうか? |
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いよいよ難所の窓枠部分(私がそう感じているだけですが・・・)に取り掛かります。
ウッドタイルを敷き詰めていくと、窓側部分では床材の幅10センチに対して2センチ近く狭くなるので、その幅に合わせて貼り付けるウッドタイルを切削しなければなりません。
加えて窓枠の床まで伸びた部分の凸凹も加工が必要です。
「仮置き」の段階で九鬼さんの中にはだいたいのイメージが出来上がっていますが、細かな擦り合わせは「場所合わせ」になり、一枚一枚を丁寧に加工されるのです。
採寸&切削作業には定規等は一切使用せず、貼り付けるウッドタイルと同じものを2枚使用してサイズを出していきます。
2枚のウッドタイルを貼る位置の床に重ねて置き、上の一枚を枠の出っ張り分量だけ上下左右にずらして、そのはみ出た部分に印をして、下のウッドタイルに重ね合わせ、印された部分をカッターで切り落とし凸凹部分の切削加工ができあがります。
※スイマセン、言葉で説明するのって難しいです(>_<)
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カンナは切削の時に出来たバリを削り取るのに使われるのが殆どですが、数ミリ幅のサイズ微調整にも使用されます。
その調整作業は正に「職人技」と言える絶妙な技術で、加工されていきます。
これらの様々な切削加工には無理矢理な感じは全く無く、九鬼さんは実にスムーズに作業が進められていきます。
その作業を繰り返し、この部屋半分のウッドタイル施工が終っていきました。
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部屋半分の施工が終わると、15分程の間、接着剤とウッドタイルとが固まるのを待って、残り半分の作業に入ります。
施工作業は前半の時と同じ順序・工程ですが、基準である真ん中のウッドタイルが殆ど完全に接着している為、幾分スピードを増して貼り付け作業が出来るようです。
と言っても、押入れ部分には細かな加工をしなくてはなりませんし、両端の長さ合わせの加工も必要です。 |
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九鬼さんの手によりウッドタイルの施工を終えた部屋です。
細かな加工部分はバーナーで一瞬だけ炙り、柔らかくしてから切り取る作業をしたりと、それらは「経験と技」がモノを言う繊細な作業だと思いました。
その「技」を駆使して窓側の壁にウッドタイルがピッタリと貼り込まれました。
明るめの床材を選択した事もありますが、まっさらな床材が貼られ、とても明るい美しい仕上がりとなっていますね!(因みに、この部屋に使われた床材は145枚にもなりました!)
続いて「巾木」と謂われるクロス(壁紙)の仕上げを行なっていきます。
※写真のとおり、壁の最下部の数センチを残してクロスが貼られていますが「巾木」を施工する場合の貼り方です。 |
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つづいて行われた「巾木」の取り付けは壁の一番下の部分、床と接する箇所に施される装飾材です。
「巾木」はタイルカーペットの上に若干覆い被さるように貼り付けられるので、ウッドタイルの施工が終わらないと行うことが出来ない為、最後の施工作業になります。
様々な素材・色・形がある「巾木」ですが、此方ではビニル製の柔らかい素材の「ソフト巾木」が選ばれました。 ※因みに賃貸アパートを管理する不動産屋さんがセレクトされています。
ソフト巾木にボンドを塗る作業中ですが、九鬼さんにカメラ目線をお願いしています・・・忙しい作業中にスイマセン。 |
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ソフト巾木の貼り付けには速乾ボンドが使用されます。
名前のとおり速乾性の専用接着剤なので、塗布から貼り付けまで素早い作業が求められます。
そして揮発性が高く引火性も高いので、換気等も含め火気の取り扱いには十分な注意が必要になります。
また巾木が非常に柔らかいのでウッドタイルの時以上に、均一に塗布しないと柔らかい巾木が凸凹になってしまい、気の抜ける作業ではありません。
ボンドの乾燥時間を考慮して、この部屋では壁一面に使用する分ずつのソフト巾木と、壁面との両方にボンドを塗布して、取り付け作業が行われていました。 ※タイルカーペットの時と同様に、ボンドが乾いたからと言って二度塗りすると、ソフト巾木がソレの厚みを反映して凸凹に仕上がってしまうので「欲張らない作業」も大切なのです。
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ソフト巾木の貼り付けでもジョイントローラーと呼ばれる道具が使用されていましたが、壁面は床面と違い、体重を掛けて押し付けられない分、腕の力が必要な「見た目以上の重労働」のようでした。
加えて、ヘリの部分で先に施工したウッドタイルに傷をつけないように配慮しながらの作業です。
もちろん窓枠や壁の隅に通っている木枠に合わせて、長さの加工も行われながらの施工作業になります。
完成したウッドタイル&巾木、そしてクロスの部分写真です。 全てが真っさらでとても気持ちが良いですね! |
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そうそう、九鬼さんは施工現場に常にラジオを持ち込まれるそうです。
音楽のリズムにのって気分よく仕事をしたいのもあるのらしいですが、通常一人で朝から晩まで・・・時には夜中の施工工事もあるそうで【心細さを紛らわす】のもあるそうです(>_<)
考えてみれば家具も何も無く、生活感が全く無い入居前の部屋で一人黙々と床や壁に向きあうって!!そりゃ、そうだろ〜なぁ〜と思いました。 ※もちろん音量には十分に注意されての事です。
最後に全ての工事が終わった部屋でスマイルを戴いて、京都市上京区でのウッドタイル施工取材を終了させて戴きました。
「インテリア浩」の九鬼さんは、御実家が同じ内装工事業の会社を営んでいた事もあり、十代からこの業界へ入り、以後17年間もこの道一筋の職人さんです。
その間に積まれた経験と実績が豊富な事から、京都の大手関連業者からの信頼も厚く、新築・リフォームに関わらず忙しく御仕事をされています。
もちろん個人の御宅の内装工事も取り扱っておられますし、滋賀・大阪等への出張工事にも対応されています。
壁紙や床などの内装工事で業者さんを決めあぐねている方がおられましたら、気軽に「インテリア浩(こう)」の九鬼さんまで御連絡される事を御薦めさせて戴きます。
取材撮影;末光誠 |
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