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晩秋の岐阜市入舟町4丁目。
遠目に岐阜城を望む交差点の一角で、テナントビルの外壁塗装工事が行われました。
建物の構造は鉄骨造。 外壁の大部分は、ALCと呼ばれる軽量気泡コンクリートに塗装が施されたものです。
塗装工事を施工するのはヨシダ塗装の吉田さん。この道30年のベテラン塗装職人です。 |
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ところでこのビル。
裏手に大きな空地があり、風向きによっては雨風がまともに外壁に吹き付けるので、
いつしか屋内にポトポトと雨漏りがするようになっていました。
雨漏りを止めるには外壁を塗り替えるしか方法がありません。
ビルのオーナーさんは費用を極力圧縮すべく、直接ペンキ屋さんに工事を依頼することにしました。
(…建物の管理もなかなか大変ですからね。)
そういうわけで、塗装職人・吉田さんの出番となりましたが、まずは裏手の外壁一面に足場が組まれました。 |
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雨漏りの原因は外壁目地のシーリングの劣化。
ALCパネル(軽量気泡コンクリート)本体にクラックが見られる場合もありますが、たいていは目地のコーキングが劣化してこの部分にひび割れが集中します。
鉄骨造の建物は、もともと目地の部分の動きが大きいので、コーキングの弾力が失われると、たちまち雨水の侵入を許してしまうのです。 |
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ヨシダ塗装では、外壁塗装に際してクラックの補修には主として樹脂入りモルタルを用います。
コーキング増し打ちという手段もありますが、「密着が良く持ちもいい。」カチオン系樹脂モルの2回塗りが、よりベターな方法と判断しています。 |
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下塗りです。
選ばれた塗料は、日本ペイントの「パーフェクトフィラー」。
ヘアークラックなどへの充填効果もある、シーラーとフィラーの機能を兼ね備えた下塗り材です。
このビルの外壁塗装は「ボンタイル」という仕上げになっています。
下地の模様を活かす場合は、ウールローラーというローラーを使って施工しますが、もともと粘度の高い塗料なので、適度に粘度を下げて使用します。
それにしても吉田さんの眼差しはいつも真剣!
ローラーを握っている限り、片時も施工面から目を離すことはありません。 |
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下地はグレー、下塗り材はホワイト。
目地の部分は気持ち厚めに、ていねいに均一に塗り拡げていきます。
足場板の上下で“継ぎムラ”ができないように、仕上げは横方向で揃えるのが【吉田流】。
足場を外したとき、あるいは施工後数年経っても、そうした“継ぎムラ”の出ることがないよう、微妙な手加減で膜厚を調整します。 |
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…お昼。
今日も良いお店を教えてもらいました。
「とんかつ四丁目」
飾り気のない外観ですが、常連さんに支えられ、店内は活気に溢れています。
ヒレカツ4ピース(みそかつソース掛け)の定食が790円!
外食チェーンばかりが威勢を張る中、こうした食堂が裏通りで賑わっているのを見ると、なんだかとても嬉しい。
岐阜市の皆様はご存じかと思いますが、ボリュームたっぷりでリーズナブルなお店です。
(写真左が吉田さん、右が助っ人の秦野さん。) |
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現場に戻って一息入れたら、すぐさま外壁塗り替え再開!
ローラーを十字に切りつつ、しっかりと塗料を擦り込んでいきます。 |
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このテナントビルの外壁は午後から西日を浴びます。
夏場は特に厳しいので、上塗りの塗料は紫外線に対する耐性が高い、日本ペイント「水性シリコンセラUV」をセレクトしました。
外壁塗り替えに使用する塗料はとても種類が多く、建物の種類や状態を見ながら慎重に選びます。
アクリル→ウレタン→シリコン→フッ素などと簡略化した広告をよく目にしますが、実際にはその何倍もの種類があり、経験のある職人さんなら、より現場にフィットした塗料を提案してくれるでしょう。 |
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4〜5階部分の外壁塗装は、助っ人の秦野さんが仕上げに入っていました。
ALC外壁の目地部分は完全にシーリングされ、雨水の侵入は不可能になりました。
素材によって塗料を変えるのはプロとして当然のことながら、塩ビパイプは「ファインウレタン」で塗装。
「ボンタイル」のキャスト模様も鮮やかに浮き立ち、陽射しを照り返して、新築さながらの輝きを取り戻しました。
取材撮影;加納一正 |
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