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今回のご紹介は、昭和の物件を令和の現代(いま)に作り変えた大工歴50年の匠の技になります。
全国的な大寒波に見舞われ、冷え込みの厳しい冬の朝。
目覚まし時計のアラームで目を覚ますと、鼻の頭が冷え切ってしまうほどの寒さでした。
ベッドも、僕が起きてしまうと寒いと思ったのか「折角寝心地良く温まっているのに行かないで」と僕にお願いしてきたのですが、今日は楽しみな出会いがあるのでベッドからの誘惑を振り切り、陽もまだ昇りきらない朝6時に起床し、期待に胸を高鳴らせながら今日の撮影現場へ向かいます。
自己紹介が遅くなりましたが、カメラマンの夏井と申します。
ご縁があって、今回山田さんの現場撮影を担当させて頂く事になりました。
電車を乗り継ぐ事約1時間。
辿り着いたのはJR横浜線「新横浜駅」そこから歩く事10分。
起伏に富んだ横浜市港北区篠原町に構える集合住宅の一室が今回の撮影現場となります。
今回のご紹介は、昭和の物件を令和の現代(いま)に作り変えた大工歴50年の匠の技になります。
全国的な大寒波に見舞われ、冷え込みの厳しい冬の朝。
目覚まし時計のアラームで目を覚ますと、鼻の頭が冷え切ってしまうほどの寒さでした。
ベッドも、僕が起きてしまうと寒いと思ったのか「折角寝心地良く温まっているのに行かないで」と僕にお願いしてきたのですが、今日は楽しみな出会いがあるのでベッドからの誘惑を振り切り、陽もまだ昇りきらない朝6時に起床し、期待に胸を高鳴らせながら今日の撮影現場へ向かいます。
自己紹介が遅くなりましたが、カメラマンの夏井と申します。
ご縁があって、今回山田さんの現場撮影を担当させて頂く事になりました。
電車を乗り継ぐ事約1時間。
辿り着いたのはJR横浜線「新横浜駅」そこから歩く事10分。
起伏に富んだ横浜市港北区篠原町に構える集合住宅の一室が今回の撮影現場となります。
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撮影させていただくのは神奈川県を中心に大工として活躍されている、山田建設の大工さん山田俊一さん。
カメラマンとしてずっと職人を撮りたいと思っていた僕にとって、今日は念願の職人さんの撮影。
朝からワクワクしていたのはこの為なのです!
現場で初めて顔合わせした山田さんは、とても穏やかでニコニコした笑顔で、人当たりの良さが滲み出ていました。
簡単に挨拶を済ませ、インタビューをしながら撮影に入ります。
撮影させていただくのは神奈川県を中心に大工として活躍されている、山田建設の大工さん山田俊一さん。
カメラマンとしてずっと職人を撮りたいと思っていた僕にとって、今日は念願の職人さんの撮影。
朝からワクワクしていたのはこの為なのです!
現場で初めて顔合わせした山田さんは、とても穏やかでニコニコした笑顔で、人当たりの良さが滲み出ていました。
簡単に挨拶を済ませ、インタビューをしながら撮影に入ります。
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まずは山田さんの手で生まれ変わった内観写真をご覧ください。
一昔前感のある共用部分。
平成初期をそこはかとなく感じさせる玄関ドア。
しかし中に広がるのは、匠の技術で生まれ変わった現代的な空間。
燦々と入る朝日が、とても眩しい。
次に入居される家族はここでどんな物語を紡いでいくのだろう?
朝の支度に追われるお母さん。
新聞片手に朝食を摂るお父さん。
寝坊した子供がバタバタと走り回り学校へ向かう為の身支度を。
そんな光景を思い起こさせられました。
まずは山田さんの手で生まれ変わった内観写真をご覧ください。
一昔前感のある共用部分。
平成初期をそこはかとなく感じさせる玄関ドア。
しかし中に広がるのは、匠の技術で生まれ変わった現代的な空間。
燦々と入る朝日が、とても眩しい。
次に入居される家族はここでどんな物語を紡いでいくのだろう?
朝の支度に追われるお母さん。
新聞片手に朝食を摂るお父さん。
寝坊した子供がバタバタと走り回り学校へ向かう為の身支度を。
そんな光景を思い起こさせられました。
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さっそくリビングでお話しを伺います。
大工歴は今年で50年。
昭和、平成、令和と約1500棟の物件に携わったとの事。
15歳で弟子入りされ、親方の下で修行に励み、初めて一件家を落成させたのは18歳の時だったそうです。
山田さんに弟子入りされた当時の事を伺ってみました。
「初めて家を一棟落成させたとは言え、細かい部分で親方から修正点やアドバイスをいただいて直しをしたりしましたが、致命的なミスはありませんでした。
親方は厳しくも愛情のある方で、親方にとても恵まれていました。
修行時代の言葉は今でも忘れない」
それからの長年磨き上げた技、経験が活かされ、ここ新横浜旭区に山田さんの手がけた、新しい家族の営みを紡ぐ舞台が生まれました。
さっそくリビングでお話しを伺います。
大工歴は今年で50年。
昭和、平成、令和と約1500棟の物件に携わったとの事。
15歳で弟子入りされ、親方の下で修行に励み、初めて一件家を落成させたのは18歳の時だったそうです。
山田さんに弟子入りされた当時の事を伺ってみました。
「初めて家を一棟落成させたとは言え、細かい部分で親方から修正点やアドバイスをいただいて直しをしたりしましたが、致命的なミスはありませんでした。
親方は厳しくも愛情のある方で、親方にとても恵まれていました。
修行時代の言葉は今でも忘れない」
それからの長年磨き上げた技、経験が活かされ、ここ新横浜旭区に山田さんの手がけた、新しい家族の営みを紡ぐ舞台が生まれました。
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Q.このマンションのリフォームで1番大変だったところはどんなことですか?
「天井の施工が大変でした。
天板の裏には筋交いが入っていて、上手く工夫しながらなるべく天井高を稼ぎました」
この物件に入った時に違和感を感じて居たのですが、その正体が天井高の低さでした。
様々な条件や制約がある中で、これから住む人の住み心地を想い臨機応変に工夫、対応し、持てる技術を惜しみなく発揮してベストを尽くす。
お施主様からも高い評価を得られるのは長年の経験と勘。
そして常にお客様により良いものをと言うストイックな姿勢と、住む人に寄り添う思いやりなのでしょう。
Q.このマンションのリフォームで1番大変だったところはどんなことですか?
「天井の施工が大変でした。
天板の裏には筋交いが入っていて、上手く工夫しながらなるべく天井高を稼ぎました」
この物件に入った時に違和感を感じて居たのですが、その正体が天井高の低さでした。
様々な条件や制約がある中で、これから住む人の住み心地を想い臨機応変に工夫、対応し、持てる技術を惜しみなく発揮してベストを尽くす。
お施主様からも高い評価を得られるのは長年の経験と勘。
そして常にお客様により良いものをと言うストイックな姿勢と、住む人に寄り添う思いやりなのでしょう。
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Q.現代では、戸建住宅を建てる時には予め建材が加工されて納品され建築工数も大分減ったと思うのですが、リフォームも同様なのでしょうか?
「リフォームに関しては今でも建材を現場で加工して合わせます。
特にこのクローゼットの施工は大変でした。
天井高が低い事と、中にドレンパイプが通っているので。
使い勝手も考えながら、部材の切り出しや加工をしました。
それとリビングの壁ですね。
リフォーム前の状況との兼ね合いもあり、上手く施工するために工夫を重ねたところです」
山田さんのお話しを伺いながら、精密に加工する事。
そして現場に合わせて臨機応変に仕上げる事。
簡単に仰ってましたが、自分に出来ない事だけに職人さんの技術を強く肌で感じました。
Q.現代では、戸建住宅を建てる時には予め建材が加工されて納品され建築工数も大分減ったと思うのですが、リフォームも同様なのでしょうか?
「リフォームに関しては今でも建材を現場で加工して合わせます。
特にこのクローゼットの施工は大変でした。
天井高が低い事と、中にドレンパイプが通っているので。
使い勝手も考えながら、部材の切り出しや加工をしました。
それとリビングの壁ですね。
リフォーム前の状況との兼ね合いもあり、上手く施工するために工夫を重ねたところです」
山田さんのお話しを伺いながら、精密に加工する事。
そして現場に合わせて臨機応変に仕上げる事。
簡単に仰ってましたが、自分に出来ない事だけに職人さんの技術を強く肌で感じました。
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筆者は、鉛筆を持つ前から玄翁を持たされ、釘打ちして遊んだり鋸の使い方を幼いうちから父に教わりましたが、持ち前の不器用さで、父の想いに応える事が出来ませんでした。
木工の経験がある方なら分かるかもしれませんが、水平垂直をキチンと出す事は物凄く大変ではないですか?
現代の職人さんは工期に間に合わせる為、勿論様々な工具を駆使しているのですが、その工具でさえ使い方が下手ならば綺麗な加工は出来ない訳です。
次はそんな工具や水平垂直にまつわるお話しです。
筆者は、鉛筆を持つ前から玄翁を持たされ、釘打ちして遊んだり鋸の使い方を幼いうちから父に教わりましたが、持ち前の不器用さで、父の想いに応える事が出来ませんでした。
木工の経験がある方なら分かるかもしれませんが、水平垂直をキチンと出す事は物凄く大変ではないですか?
現代の職人さんは工期に間に合わせる為、勿論様々な工具を駆使しているのですが、その工具でさえ使い方が下手ならば綺麗な加工は出来ない訳です。
次はそんな工具や水平垂直にまつわるお話しです。
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Q.50年大工の仕事されていて、工具の進化を肌身で感じられたと思います。
どんな事が印象深かったですか?
「色々な工具が電動化されたり便利になりました。
その中でもレーザーの墨出し機はとても革命的でした。
このマンションのリフォームでも大活躍しましたよ、水平垂直は勿論、立体的に間取りを感じ仕事が捗ります。
この現場は図面も良く仕事がしやすかったと言うのもありますが」
図面だけ見て伽藍堂の空間に部屋を創ると言うのは、素人の私には想像出来ない事ですが、創造する事というのは完成形が先に頭に思い浮かぶかどうかが肝になってきます。
そのサポートをしてくれるレーザー墨出し機が革命的と言うのも頷ける話でした。
さらに山田さんはこう付け加えました。
「工具は常に1番グレードの高いものを使っています、安いものは安物買いの銭失いですから」
僕達は、快適で便利な生活を何も感じる事なく当たり前の様に享受しています。
当たり前にクローゼットが使えて、あたりまえにドアも開きます。
床に置いたボールも勝手に転がらない。
それは水平垂直がしっかりとれているという事です。
その裏には、熟練の技術と経験を活かして最新の道具を使いこなし、住む人の快適を想って生み出された「快適な生活」なのです。
Q.50年大工の仕事されていて、工具の進化を肌身で感じられたと思います。
どんな事が印象深かったですか?
「色々な工具が電動化されたり便利になりました。
その中でもレーザーの墨出し機はとても革命的でした。
このマンションのリフォームでも大活躍しましたよ、水平垂直は勿論、立体的に間取りを感じ仕事が捗ります。
この現場は図面も良く仕事がしやすかったと言うのもありますが」
図面だけ見て伽藍堂の空間に部屋を創ると言うのは、素人の私には想像出来ない事ですが、創造する事というのは完成形が先に頭に思い浮かぶかどうかが肝になってきます。
そのサポートをしてくれるレーザー墨出し機が革命的と言うのも頷ける話でした。
さらに山田さんはこう付け加えました。
「工具は常に1番グレードの高いものを使っています、安いものは安物買いの銭失いですから」
僕達は、快適で便利な生活を何も感じる事なく当たり前の様に享受しています。
当たり前にクローゼットが使えて、あたりまえにドアも開きます。
床に置いたボールも勝手に転がらない。
それは水平垂直がしっかりとれているという事です。
その裏には、熟練の技術と経験を活かして最新の道具を使いこなし、住む人の快適を想って生み出された「快適な生活」なのです。
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Q.今回のリフォームで1番こだわった所はどんな所でしょうか?
「キッチン横のこの笠木の加工と巾木の細工ですね。
あとは巾木の接合面の細工です」
木工経験がある方だとお気づきかも知れませんが、木材が小さかったり薄かったりすればするほど。
また、細かく加工しようと思うほど木材の切り落とす前に木が割れてしまっり、欠けてしまったり。
そんな経験があるのではないでしょうか?
きっと画面越しに頷いてる人がきっとたくさんいらっしゃる事でしょう。
キッチン横の笠木に関しては合わせた木目が美しく、さり気ない装飾としてお部屋のアクセントになっています。
普段生活していて目にも留まらないであろう、引き戸の裏の巾木の合わせ目、こんなところまで丁寧な仕上げが施してあります。
さらに、玄関の土間との境目の巾木にも同様の仕上げ細工がされています。
玄関は靴を履く事に集中する場所ですよね?
玄関で「いやーウチの巾木の仕上げは見事だよな」と、しげしげと見つめる人は皆無に等しいのでは無いでしょうか?
そんな玄関の巾木の継ぎ目仕上げにも細かな細工がしてありました。
「大体の職人さんは面倒くさがってこんな事あまりしないんだけどね」とサラッと仰ってました。
高度な技術をチラっとさり気なく。
終始謙虚な山田さんのお人柄と技術力を最も表しているポイントだと思いました。
Q.今回のリフォームで1番こだわった所はどんな所でしょうか?
「キッチン横のこの笠木の加工と巾木の細工ですね。
あとは巾木の接合面の細工です」
木工経験がある方だとお気づきかも知れませんが、木材が小さかったり薄かったりすればするほど。
また、細かく加工しようと思うほど木材の切り落とす前に木が割れてしまっり、欠けてしまったり。
そんな経験があるのではないでしょうか?
きっと画面越しに頷いてる人がきっとたくさんいらっしゃる事でしょう。
キッチン横の笠木に関しては合わせた木目が美しく、さり気ない装飾としてお部屋のアクセントになっています。
普段生活していて目にも留まらないであろう、引き戸の裏の巾木の合わせ目、こんなところまで丁寧な仕上げが施してあります。
さらに、玄関の土間との境目の巾木にも同様の仕上げ細工がされています。
玄関は靴を履く事に集中する場所ですよね?
玄関で「いやーウチの巾木の仕上げは見事だよな」と、しげしげと見つめる人は皆無に等しいのでは無いでしょうか?
そんな玄関の巾木の継ぎ目仕上げにも細かな細工がしてありました。
「大体の職人さんは面倒くさがってこんな事あまりしないんだけどね」とサラッと仰ってました。
高度な技術をチラっとさり気なく。
終始謙虚な山田さんのお人柄と技術力を最も表しているポイントだと思いました。
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それでは最後に山田さんの大工としての哲学を。
「仕事に「これでいい」という仕事は無い。
「こうしたい」という想いが大切。
満足してしまい余計な自信を持つとと人間横着になってしまい進歩もなくなってしまう。
大工としては「出来てて当たり前」「出来ないのがおかしい」と言う気持ちで、ただ自分自身には「お前はまだまだだ」と常に心がけないと進歩しない。
もう50年この仕事してますが一生勉強です」
常に謙虚で終始笑顔で。
そして、その笑顔は年上の人生の先輩にこんな言い方をするのも失礼かもしれませんが、屈託のない少年のような笑顔で、山田さんが15歳で弟子入りされた時、きっとこんな笑顔で楽しそうにお仕事されていたのかなと思いました。
本当に大工仕事が大好きなんだという事を感じました。
そして時折仕事の話をしている時に見せる顔は真剣そのものでした。
そして見せていただいた手は、タコやマメの潰れた跡でゴツゴツしているものだと思っていましたが、想像とは違う綺麗な手でした。
きっと熟練された身体の使い方で余計な力も体にかからず自然体でお仕事されてるのかな?と思いました。
真剣な眼差しは仕事に対しての自信と誇り。
目尻に刻まれた皺は経験とありがとうの証。
手に刻まれた皺の数と深さは仕事の歴史。
色々とお話をお伺いしましたが、100の言葉を語らずとも顔と手が全てを物語っていました。
それでは最後に山田さんの大工としての哲学を。
「仕事に「これでいい」という仕事は無い。
「こうしたい」という想いが大切。
満足してしまい余計な自信を持つとと人間横着になってしまい進歩もなくなってしまう。
大工としては「出来てて当たり前」「出来ないのがおかしい」と言う気持ちで、ただ自分自身には「お前はまだまだだ」と常に心がけないと進歩しない。
もう50年この仕事してますが一生勉強です」
常に謙虚で終始笑顔で。
そして、その笑顔は年上の人生の先輩にこんな言い方をするのも失礼かもしれませんが、屈託のない少年のような笑顔で、山田さんが15歳で弟子入りされた時、きっとこんな笑顔で楽しそうにお仕事されていたのかなと思いました。
本当に大工仕事が大好きなんだという事を感じました。
そして時折仕事の話をしている時に見せる顔は真剣そのものでした。
そして見せていただいた手は、タコやマメの潰れた跡でゴツゴツしているものだと思っていましたが、想像とは違う綺麗な手でした。
きっと熟練された身体の使い方で余計な力も体にかからず自然体でお仕事されてるのかな?と思いました。
真剣な眼差しは仕事に対しての自信と誇り。
目尻に刻まれた皺は経験とありがとうの証。
手に刻まれた皺の数と深さは仕事の歴史。
色々とお話をお伺いしましたが、100の言葉を語らずとも顔と手が全てを物語っていました。
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山田さん、これからの夢や目標ってありますか?
と、質問したのですがとても素敵な夢をお持ちでした。
ただ、ここで僕が語るのも無粋というもの。
ぜひ山田さんの口から直接聞いていただけたらと思います。
取材・撮影=夏井カメラマン
山田さん、これからの夢や目標ってありますか?
と、質問したのですがとても素敵な夢をお持ちでした。
ただ、ここで僕が語るのも無粋というもの。
ぜひ山田さんの口から直接聞いていただけたらと思います。
取材・撮影=夏井カメラマン