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東京都世田谷区を中心に、関東一円で工事を請け負う防水屋さん「東京グラウト工業」の江口さん。 仕事の範囲は広く、防水工事にはじまり、シーリング、止水、塗装、タイル張り替えなども行なっています。
前回の記事では、世田谷区の集合住宅でのベランダ&外廊下の防水工事を紹介しましたが、ここではそれらと並行して行なった、外廊下の防水&クッションフロア貼りの作業をお見せしましょう。
ベランダ同様、作業は養生から。つぎに、防水に使用するウレタン樹脂(ウレタン塗膜防水)の接着性を高めるため、プライマー(下地剤)を塗ります。 |
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外廊下は、立ち上がり部分と廊下の両端をウレタン防水し、廊下全面にはクッションフロア(塩ビシート)を貼ります。
クッションフロアにする理由はふたつあります。ひとつは、クッションフロアを貼ったほうが、足音が響かなくなるから。もうひとつは、乾きの遅いウレタン防水だと、工期が長くなって、居住者に迷惑がかかるからです。
ベランダよりも狭いとはいえ、雨水パイプや排水溝などがあり、手間はけっこうかかります。でも、さすがは職人。江口さんも父の昭さんも、刷毛やゴム製のヘラを使って手際よく塗っていきます。
この日はここで作業を終了。後日、ウレタン樹脂を二度塗り、さらにトップコートを施します。 |
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一週間後に現場を訪れました。クッションフロアを敷く作業のスタートです。
まずはクッションフロアを仮に敷いてカットします。隙間なく敷くのは、職人なら当然。サシガネとカッターを使い、できるだけぴったりはまるように調整します。
普通の防水屋さんは、クッションフロアなどの、いわゆる「貼り物」を施工することはまれ。ですが、江口さんは、自分の仕事の延長上にある作業を積極的に請け負っているそうです。 施主の立場からいえば、複数の業者に依頼するより、ひとつにまとめられたほうが楽。予算が抑えられると同時に、工期短縮にもつながりますね。 |
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クッションフロアの片側をめくり、プラスチック製のヘラを使ってボンドを塗ります。
使用するのは、耐水性に優れたエポキシ樹脂系の2液混合タイプ。このボンドも、防水用のウレタン樹脂も、気温が低いと乾くまでに時間がかかります。使用したボンドには夏用と冬用があって、冬用のほうが早く乾くんだとか。この日は数日前とは打って変わって寒さの厳しい日でしたので、江口さんは冬用をチョイスしていました。
塗り終わったら乾くまで待って、クッションフロアを貼り付けます。素人は、しっかり乾くのを待ちきれずに貼ってしまうことがありますが、それはNG。接着性がとても悪くなってしまうのです。DIYで施工する方はご注意を! |
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クッションフロアの、貼り付けていない側をめくって、先ほどと同様にボンドを塗ります。
廊下のこちらがわ(居室側)はパイプ類がクッションフロアと干渉するのですが、そうした細かい部分は細いヘラなどを使って、ていねいに作業します。もちろん、排水口の内側などにはみ出したボンドは、きれいに取り除きます。 全体を隙間なく、均一に塗るのも経験豊富な職人らしい作業。厚く塗りすぎた部分があると、そこだけ乾きが遅くなり、無駄な待ち時間ができてしまいますからね。
ボンドが乾いたら、クッションフロアを敷きます。貼り直しができない一発勝負ですが、ぴったりおさまりました。 |
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つぎの作業はシーリング(コーキング)。クッションフロアと床・立ち上がりの隙間に水が浸入しないよう、目止めをします。
シーリングの作業は、養生(マスキング)テープを貼るところからスタート。 2巻の養生テープを手に、立ち上がり側とクッションフロア側を同時に養生する江口さん。 クッションフロアの端や合わせ目、排水口まわりを、ていねいに作業しつつも、ものの10分ほどで作業を終わらせます。 こうした手際の良さは、見ていて気持ちのいいものですね。 |
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クッションフロアの周囲を、シリコン系のシーリング剤で目止めします。
コーキングガンを使って、スピーディにシーリングするおふたり。 ちなみに、この現場では2本のシーリング剤を使用していました。使う材料の量を的確に見極めるのも、経験豊富な職人ならではです。
その後、細いヘラを使って、シーリング剤をしっかり押し付けます。 おふたりの作業はていねいでありながらスピーディ。作業は20分ほどで完了しました。 |
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シーリング剤は、ウレタン樹脂やボンドと違い、早く乾きます。シーリングが終わったら、すぐに養生テープを剥がして作業終了。
写真を見ていただければお分りのように、仕上がりはとってもきれい! 江口さんのモットーである、「手間がかかってもきれいな仕上げに!」が、そのままかたちになっています。
ところで、説明は少し長くなりましたが、養生からここまでの所要時間は、1時間足らず。クッションフロアを貼りはじめるところから、3時間程度でしょうか。見方を変えれば、居住者の方々に不便を強いるのも3時間くらいですむということですね。 |
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最後に、クッションフロアの両端に押さえ金具を取り付けます。 これは、その名の通り、クッションフロアがめくり上がらないように押さえるためのもの。ドリルで下穴を開け、ドライバーでビス留めします。
そして最後の最後に、塗りムラなどが気になる場所にトップコート剤を塗って、今回の工事は終了。 きれいな仕上がりに、作業を見にこられた施主の関係者も「見違えるようですね!」と絶賛していました。
江口さんは戸建て住宅から大型集合住宅まで、さまざまな現場での工事に対応してくれるそうです。防水に関する悩みなどがあれば、一度、相談されてみてはいかがでしょうか。
*取材=加藤康一(Freewheel inc.) |
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