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今回は大工職人「坂脇工房」坂脇さんの取材に大阪府枚方市にやって来ました。
この日の取材はリフォーム階段の施工過程ですが、此方では昨年11月から家屋全体のリフォームが行なわれ、階段部分がその最終段階と云うことです。
各部屋のリフォームの様子は全ての工事終了後に改めて、取材させて頂きレポートいたします。
写真に見える折れ曲がり階段が施工途中の様子です。 既に新しい踏み板が設置施工され、次は化粧板を張り付けていく段階となっております。
蹴込み部分には縦の目が入っていますが、こちらも新しい化粧板が貼られて階段全体が新しくなります。 |
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実は此方の建物は地盤変動の影響で、家全体が基礎から傾いてしまっていた為、専門業者に依頼して家上げをしなければなりませんでした。
それは8センチもの修復が行なわれたそうです!そして家の傾向きは細かな部分に歪や反り、割れを発生させる事に!
それら全てを修復するには大規模リフォーム(柱だけを残した状態にしてから工事をするリフォーム)となりますが、今回はそれをせずに各部の修繕に当たります。
写真上段は傾きに耐え切れなくなった階段の廻踏み板が避けてしまった様子です!
写真下段は蹴込み部ですが、化粧板を貼る為にベースとなる木枠が取り付けられています。
縦に付けられた木枠に角度が付いて、更に手前から奥の3本の枠で角度がそれぞれ違うのがお分かりになりますでしょうか? 新しい蹴込み板を垂直に取り付ける為に坂脇さんの細かな仕事がされています。 |
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最下段の蹴込みに靴摺り化粧を施す坂脇さん。
ピンのような細いスクリュービスで確実に設置され、更にビスの跡には塗料が刷り込まれれて、その存在を目立たなくしています。
坂脇さんの階段リフォームには、一つ一つの作業に細かな配慮がされて施主様に対する思いやりが感じられます。 |
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此処からは踏み板に化粧を施す作業です。
施工する場所の寸法を測り、それに合わせておおまかに化粧板を切り出します。
おおまかに切り出すのは、家の傾きの影響が長年にわたって蓄積した結果(もちろん経年変化も含め)段毎に長さや角の角度が違うので、一回で切り出すよりも原寸合わせしながら微調整を繰り返し、階段毎に一枚の化粧板を作ってから貼り付ける方法を取られています。
長年の大工職人歴で培った経験をもとにした、坂脇さんの的確な判断なのです。 |
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自在定規を使い踏み板・蹴こみ・桁板との角度を測り、それを新しい化粧板に写しとってから切り出します。
僕の感覚では此処で「正確な寸法」の化粧板が出来上がり!となりますが、坂脇さんにとてみれば定規を使って写した角度・寸法でさえ「おおまか」の域を出ません。
一つ一つの建材を施工設置する場所に合わせて最適な形に整えた場合にのみ「正確な寸法」と呼べるとおっしゃり、それは自らに厳しい基準を課した仕事をされている表れでもあります。
名工として数千分の僅か十名の中に選ばれた事実は、単に卓越した大工技術が評価されただけではないと云うのを感じさせられました。 |
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そして次は施工場所に合わせる為のカンナ、ヤスリがけ作業です。
厚み3ミリ程しかない化粧板の側面を薄く削って、貼り付ける場所との摺り合わせ作業をしていきます。
何度も板をあてがっては削る作業を繰り返し、最後は目の細かいヤスリでほんの少し撫でる程度にまで作り込まれました。 |
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坂脇さんの精密な仕事はこんな所にも!
作業の早さ・簡単さを考えれば、化粧板を桁板の出っ張りに形に合わせて切削加工してコーキングで仕上げるのが普通のようですが、仕上がりの美しさを考えた場合には、桁板に化粧板の厚み分の切り込み加工して化粧板を滑りこませるという、手間の掛かる手法で仕上げられます!
そして微妙な歪曲や凹凸にもピッタリと収まった化粧板が設置されました。
この細かな階段リフォーム(階段修理・修繕)作業が13段の階段踏み板の全てに対して行なわれていくのですから、今から完成取材がとても楽しみです。 |
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そしてこの階段リフォーム施工取材から約十日、リフォーム完成との知らせを受け再び大阪府枚方市に行ってまいりました。
此方は化粧仕上げ前の全体の様子です。
壁には美しい木目の板が貼られていますが、こちらはクロス仕上げの為の壁下地で、 手すりを新設する為に分厚い板が張付けられています。
坂脇さんは壁下地造りにも気を使って施工されるので、この段階でクロスを貼ってしまうのがもったいないと感じさせる程に美しい造りになっています。
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そして完成した階段リフォーム(階段修理・修繕)
明るめの木目調化粧板と白いクロス貼りの壁が、階段スペース全体を明るく光りあふれる演出をしています。
一段一段をその場に合わせて丁寧に作りこんでいますので、桁板・蹴込み・踏み板に不自然な隙間等が無く本当に美しい仕上がりとなっていました。
前回の記事にしたとおり、家の傾きの為に裂けてしまった廻踏み板や歪等を修正しながらの工事でしたが、完成してしまうとそんな御苦労を全く感じる事ができなくなってしまうのは、精度の高い仕事をされるからこその事だと思います。
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取材の最後に施主様と坂脇さんのツーショット。 実は此方での坂脇さんのリフォーム工事は今回が初めてではありません。
初回リフォームは20数年前と云い、それ以来は友人関係となってお付き合いされているとの事。
施主様は「拘りをもってきっちり仕事をしてくれはる」とおっしゃり、坂脇さんは「押入れ一つでもきっちりした仕事をさせてくれる」とおっしゃります。
前回に取材でお伺いした時に坂脇さんが云われてた「一生付き合える家造り」とは、まさにこの事なんだと今更ですが気付かされたのが今回の取材でした。
坂脇さんの住まいのリフォームは階段リフォーム・押入れの手直し・棚の制作取り付け等、施工内容の大小に関わらず引き受けられます。
大阪府枚方市を拠点とされていますが、近隣の方も大歓迎ですのでどうぞ御気軽にご連絡ください。
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