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今回の取材はNoho Kai 建築事務所、一級建築士の長谷河学さんのお仕事をご紹介いたします。Noho Kaiとはハワイ語で”海のそば”と言う意味。
現場は神奈川県秦野市の築30年の中古一戸建住宅。
施主様は元々お住いの方ではなくお父様が車椅子の介護が必要になり、 バリアフリーのリフォームをするならここ秦野市の病院の近くにとのお考えで こちらの中古物件を購入されたそうです。
フルリフォームなら全壊して新築で建直す予算の半分で出来るそうです。
上の写真は完成後の外観です。申請許可の関係で撮影時は施工前でしたが玄関とは別に赤丸の部分にスロープを設置して車椅子でもお父様がダイレクトにお部屋に上がれるよう設計されてます。 因みに長谷河さんは住環境福祉コーディネーターの資格もお持ちです。
下の施工前の写真は長谷河さんからお借りいたしました。 いかがでしょうか、、、?だいぶ明るい表情に外観も変身しました!!
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こちらは一階リビング側からの外観です。
施工前の写真と見比べると雨戸をシャッターに替え戸袋や柱の暗い色調が減り、明るい外壁の面積が多くなりました。
加えて、中央玄関ドアの高さも高くなり吹き抜けの窓から覗く照明も暖かな印象です。
外出から疲れて帰ったご主人様をホット和ませてくれたり、訪れた人を優しく暖かく迎えてくれそうな、、、。素敵な外観の設計です。
もう一つの注目点は、ベランダのフェンスです。色調と線は”ダークブラウン系と直線”新旧同じですが、縦の直線を(密度は違いますが)横にしただけでこれだけ印象が変わるのには驚きました。
施工後のフェンスの方がプライベートが守られ、しかも優しくナチュラルです! |
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最初のお部屋は今回のフルリフォーム設計のメインテーマともいえるバリアフリーの寝室です。
スロープから縁側に上がり、寝室→トイレ→洗面→バスルームとストレスのない設計です。
窓の下にあるグレーのキャビネットの場所に頭を窓側にしてベッドが入ります。窓の下にカウンター収納とクローゼットを設置して身の回りのもに手が届きやすく配慮されています。
天井の照明は中古物件の時の物で風格のある透かし彫りが施されております。お部屋の雰囲気にとても馴染んでいて素敵です。
車椅子が当たる事を考えて幅木は(丸枠の写真)普通幅の2〜3倍でクッション性のある材質を使用してます。
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こちらのお部屋の印象は高級旅館のような純和風でお洒落な雰囲気です。
スロープから縁側に上がると左はレトロな家具と天井。これは以前のままだそうです。壁を塗り替え竹細工の照明は新しいものです。
右の洗面台もヘルパーさんが出入りする時に手を洗ったりで出来るようにと新しく設置されたそうで感激いたしました!
トイレ洗面所などのスペースも車椅子使用を考え広く設計されてます。
突き当たりに見えるのはシャワードバスで座ったまま左右のノズルからもシャワーが出る優れものです。もちろん左奥に大きいバスタブもあります。
今回の取材で勉強して少し解ってきた事、感じた事は介護が必要な方たちへの思いやりの工夫は全てバリアフリーではないかという事です。
縁側の洗面台もその一つですし、お洒落なスタンド型ペーパーホルダーも車椅子と補助の方の事を考えると出来る限りスペースを有効活用して、ペーパーホルダーは壁に固定するより自由に移動可能な方がベストですよね。
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玄関からの廊下を挟んでお父様寝室と10帖のリビングがあります。グレーの広い壁には大型の壁掛け式のTVを設置してお父様も寝室から見られるようにとの暖かい心遣いです。
下の写真はお父様がベッドから体を起こした時の視界を想定して撮影いたしました。
広い引き戸を全開にすればリビングと寝室が一体化して施主様ご夫婦はリビングで、お父様はベッドからご一緒にTVを楽しんだり会話をしたり、これも素晴らしいバリアフリーと言えるのではないでしょうか、、、。
写真の雑巾がけをしていらっしゃる方は建築士の長谷河さんです。 車椅子が滑らないよう床にノンスリップ加工が施されているのですが表面がマットな仕上がりになっている為、白っぽく埃が被ったように映り気になったそうです。洗いやさんもきて相談されていました。
取材中も雑巾を持っていろいろな箇所を入念にチェックしておられました。 |
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玄関を上がって突き当りが取合棚、ホッとさせるスペースです。
左側に階段、右側のキッチンから回ると勝手口に。 勝手口は新しく施工されました。勝手口の脇のちょうど階段下の部分に収納スペース。反対側にはキッチンの冷蔵庫。買い物をして勝手口から入る主婦にはありがたい設計です!
キッチンのお洒落なキューブ型照明のカウンターはリビングから見て水周りや手元が見えないように高さが工夫されています。色調もリビングと同じグレーとオフホワイトで統一。 |
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さて、ここからは二階部分です。
階段を上がって右側奥は2帖ちょっとあるでしょうか、以前は納戸として使われていたスペースです。明るい白木を使ったシンプルな小部屋で施主様の愛猫のお部屋に生まれ変わりました。
手前の洗面台は今回新しく設置されました。二階に寝室の有る施主様が朝の洗面の時、または猫ちゃんのお世話の後に重宝する事間違いなしの心憎い設計です!!小部屋と洗面台の間はトイレです。
廊下を挟んで左側は6帖フローリング。右壁一面の本棚は以前隣の部屋との間にあった廊下部分を無くし、その分、押し出して作ったスペースなので部屋の広さは以前のままに保たれています。やはり明るい白木を使用してシンプル纏まっています。夏は床に寝そべって読書?!もいいですね! |
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こちらは一階お父様寝室の上にあたる8帖和室です。壁の配色はお父様の和風寝室と同じ淡いグリーンです。新しい青い畳と計算された統一感は流石です。
左の写真は施工途中撮影いたしました。特に窓の下の壁を高くした以外は設計上は手を加えずシンプルにリフォームです。
やはり広い畳の部屋が一つ有ると贅沢感のある落ち着きを感じます。 |
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注目はこちら右の可愛い小窓です!
これは以前からの既存の窓ですが70年代の雰囲気がとってもお洒落です。 それだけではなく小窓から覗くと階下向い側のお父様のお部屋の様子が窺がえる機能も兼ねています。小窓と照明デザインもピッタリです。
ここは施主様の6.5帖の寝室。隣の本棚の有るお部屋と同じく廊下を省くことで1.5帖ほど広くなりました。右側クローゼットの部分を除き左側は広がった部分です。
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取材前はバリアフリーと伺って勝手に洋室のイメージでおりましたがこの様に素敵でお洒落な和風の設計にノックアウトです。今、改めて画像を見てもお部屋の表情が個々に皆違うのに不思議と主張し過ぎずお互い仲良く融合して統一感のある事に感銘いたしました。
和室の古い天井や照明、障子の格子柄、レトロな小窓、それとさり気なく合わさるアールデコ調の照明等々、もともとアールデコは日本の美術から影響を受けた側面があると聞き覚えております。
リフォームと言うと腕の良い工務店さんや大工さんに直接お願いするのも有りですが、やはり総合的なバランス、センスの良さは一級建築士さんの成せる技ではないでしょうか!!
長谷河さんのキャリアで培われた上質なセンスとお客様が納得いくまでアドバイスされたり、イメージが湧かないお客様には休日も返上してショールームまでご一緒されるほどの熱意があればこそだと納得いたしました。
事務所紹介ページでもお話いたしますが今までに長谷河さんが手掛けられた建築設計はまるでリゾートホテルや高級スパのような癒し安らぎ系の作品が多く、拝見してワクワクいたしました。ぜひ、次回にお伝えする機会があればと思います。
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