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千葉県香取市で大工の白石利夫さんに見せていただいたのは、農家のSさんが所有している作業場のトタン張り替え(修理)作業です。
建ててから30年ほど経過しており、波板(トタン板)がかなり傷んでいます。
利根川と常陸利根川に挟まれたこの地域は水田が広がり、屋根・壁ともに波板で囲まれた作業小屋が点在しています。
洪水などの被害を最小限に抑えるため、自宅やトラクターなどを置く小屋は川から離れたところに建て、水田の近くにこうした作業小屋を設置するのが一般的なんだそうです。
お邪魔したときは、ちょうど休憩中。白石さんはSさんご夫婦と談笑されているところでした。 |
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古くなった波板(トタン板)を剥がし、新しいものに取り替えるのが今回の作業内容。
前日に古い波板の撤去は済んでおり、張り替えも当日朝からの作業で2/3ほど終了していました。
撤去された波板を見ると、端のほうが腐食しています。波トタンは鋼板に亜鉛めっきを施した波板で、高い強度と耐久性を誇りますが、さすがに30年も経てばこれだけ傷むんですね。
新しい波板は「ガルバリウム波板」と呼ばれるもの。旧来のトタン板に比べて、倍以上の耐久性があるそうです。 |
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古い波板は、すべて剥がすのではなく、使える部分は極力残してあります。そうすることで、材料費や工事費をかなり抑えることができます。
新しいガルバリウム波板を古い波トタンの下に60センチほど差し込むように設置することで、雨水が浸入することを防ぎ、同時に傷んだ部分が作業小屋の内部から見えないようにしています。
上から張ってしまったほうが作業としては簡単ですが、ベテラン職人である白石さんがこうしたところで手抜きをすることはありません。 |
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さて、いよいよ残りの作業がスタート。大工として45年のキャリアをもつ白石さんですが、お歳を感じさせない軽快さで屋根に上り、波板を引き上げて設置していきます。
軒桁の位置に釘を打てるよう、端材で波板に墨付け。そして、ゲンノウで波板用の傘釘を2〜3山ごとに打っていきます。
狭いピッチで釘を打つのは「田んぼの中は風が強いから」だそう。しっかり固定しないと、強風で剥がれてしまいかねないのです。 |
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スピーディに作業を進める白石さん。
仕事をするエリアは千葉県内がほとんどですが、地元・東庄町や香取市だけでなく東京に近い地域にも出向いているとのことです。
お聞きしたところ、中学校卒業後に5年間修行して、すぐ独立されたんだとか。
木工事を中心とする職人さんですが、知り合いの職人さんと協力して、今回の簡単な修理から、リフォーム・増改築まで幅広く請け負っているそうです。 |
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あっという間に工事も終盤。
すでに張ってある波板と2山以上重なるように次の波板を設置し、屋根の縁に張ってあるケラバの下に収めて傘釘で固定します。
ここをしっかり留めておかないと、強風でめくれてしまいますからね。
スピードが速いことに加え、こうした施工のていねいさもベテランらしさの表れ。
結果、仕上がりもきれいになります。
たとえ作業小屋でも、雑な工事はしないのが職人というものですね! |
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使用したガルバリウム波板(約330×60センチ)は20枚。
撤去に半日、波板の設置に半日、合わせて1日程度の作業で今回の波板張り替え(修理)工事が終了しました。
できるだけ短い時間で施工したので、施主のSさんの農作業に支障をきたすことはありませんでした。
これで、間もなくやってくる梅雨を安心して迎えられますね!
今回、ご紹介したのは、白石さんにとっては簡単な工事でしたが、それでもベテランの職人らしい手際の良さを垣間見ることができました。
前述の通り、白石さんは一般住宅や共同住宅のリフォームなどを含め幅広く対応してくれますので、一度ご相談してみてはいかがでしょうか?
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取材撮影;加藤康一 |
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