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茨城県守谷市の工務店、染谷建築は、代表の染谷幸一さんを筆頭に、妻・ワタルさん、娘・かおりさん、そして番頭の島田裕太さんの4人で切り盛りしている工務店です。
棟梁は昭和23年生まれ。18歳の頃に建築業者に入社し、そこで4年半ほどみっちり大工仕事を叩き込まれたのち、独立したそうです。
新築・リフォーム工事ともに、地元・守谷市と、お隣の取手市が主な仕事場とのこと。
取材にお伺いしたときは、ちょうど次の仕事との合間にあたり、現場での作業を拝見することはできなかったので、ご自宅と作業場を中心に見せていただきました。
ご自宅も、もちろん棟梁が手がけたもの。内装の見事さは、棟梁の腕前をうかがい知るのに十分なものです。 |
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拝見できる住宅は過去に手がけた新築物件とのことでしたので、過去のリフォーム工事の写真を見せていただきました。
写真は茨城県・常総市で、水害に遭われたお宅の床張り替えと壁の補修の施工例です。水と泥で傷んだ床。壁は断熱材や間柱にカビが生え、腐ってしまった部分もあったそうです。
床は下地からすべて交換し、壁は工事費を抑えるために損傷部分を修理。とくに床は、単に元どおりにするだけではなく、大引を入れて垂木を細かく引き、より丈夫にしたとのこと。仕上がりの写真を見ると、丁寧なお仕事をされていることが理解できますね。 |
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ご自宅の応接間には、家の模型が。
実はこれ、家を建てる前に、棟梁が正確な1/10のスケールで作るものなんだそうです。
実際に建てる家と同様に、材は杉・松・檜を使い分け、ホゾも入れてあるとのこと。
引き戸も、もちろん開閉可能で、その動きのスムーズなこと! 模型の内部を見ると、筋交いもしっかり入っています。
「模型があれば、施主の方にイメージが伝わるからね」とおっしゃる棟梁。
写真は30坪ほどの家の模型ですが、これを作るのに2週間以上かけるのだとか。設計図を先に引くのではなく、この模型をもとに建築士に設計図を作らせるという、独特な、そして理にかなった仕事のスタイルに感銘を受けました。 |
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数年前に手がけたという1件目のお宅(ガレージ兼物置)を拝見しました。
まず目を惹かれるのが、庇の下に横たわる太い丸太(縁桁)。下から見上げると、太い梁や垂木が張り巡らされ、いかにもしっかりしたつくりです。
近年の、とくにハウスメーカーが建てる住宅は、通し柱でも4寸(120ミリ角)程度ですが、棟梁は7寸の柱を使うのが普通だとのこと。
当然、強度も耐久性も格段に高くなります。それでいて、例えば先ほどの模型の住宅であれば、坪60万円程度と良心的な工事費で仕上げているそうです。
島田さんは「親方は予算以上にいいものを作ろうとするんで、儲けが少ないんですよね」と言いつつも、そんな親方に惚れ込んでいるようです。 |
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次に拝見したのは、20年以上前に立てた住宅。
周囲の住宅との違いがひと目で分かるのは、屋根の下に霧除け庇(小屋根)があることです。
垂木が細かく入っていて、垂木を途中で支える桁がないぶん、とても美しい仕上がりになっています。
このように垂木を見せる構造を「本化粧造り」と呼びますが、作業に手間がかかり、高い精度も求められるため、今ではあまり見られません。
自宅周辺、茨城県守谷市・取手市に100軒ほどの住宅を建てている親方は、大雨が降ったり、地震があったりするたびに、自分が手がけた住宅を見て回っているそうです。
そんなところにも、自分の仕事に責任をもつ棟梁の姿勢が表れていますね。 |
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広い作業場には、大きな木工機械がいくつも置いてあります。
新築をはじめとした大仕事をメインに行なう染谷建築では、これらが必須の道具なんですね。
リフォームの仕事でも、使う材はここで加工してから持っていくそうです。「現場で加工すると、こうした道具が使えないから、きちんとした仕事ができない」とは棟梁の弁。
奥さん曰く「休みの日でもずうっと木を触っていないと気が済まないみたい」。とにかく木が好きで、細かい作業もまったく苦にならないのだそうです。
それに加えて、常にできるだけいい仕事をしようという姿勢。新築であれ、リフォームであれ、こんな大工さんに施工してもらえれば、必ず満足いく仕上がりになるはずです。 |
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